ご相談者/Hさん(52) 中堅規模のビルメン企業の社長
研修を受けてマナーの大切さは理解しても、それを実践しなければ意味はありません。わかっているのですが、いざとなるとなかなか実践できない。
研修に費やした時間とお金がムダになってしまう。こういったケースは多いため、Hさんは賢明です。そのことに気づきました。
私も研修では「社に戻ってからが勝負です」と必ず伝えます。研修は参加することに意義があるものではなく、実際の現場で生かせて価値があるものです。
受けただけは本当にムダ。
経費を出したのだから元を取り返す、という当たり前の経営論理をわきまえたら、実践に結びつける以外の選択肢はありません。
そもそもビルメン企業にビジネスマナーは必要か、とよく聞かれます。
答えは「YES」。
いまどき、挨拶もろくにできない会社に存在価値はありません。
私の経験から、研修の成果がよく出た会社は社長自らが先頭に立って実践した会社です。
印象に残っている社長は受講後、毎朝、現場を回って率先して「おはようございます」と挨拶を始めたと聞きました。
スタッフは皆驚き「どうせ2、3日だろう。続かないさ」と陰口もあったようです。しかし、1ヶ月続けると社長の「本気」度が伝わり、一人、二人と挨拶する人は増えていきました。
ついにはみんなが気持ちよく挨拶するようになったそうです。
その社長も「始めは恥ずかしかったんだ」と後日吐露してくれました。でも勇気を持ってやる。
コツは大きな声ではっきりと「おはようございます」と声をかける、のだそうです。小さい声でモゾモゾ言うとかえって恥ずかしく、そして相手からも返ってきません。
加えて、笑顔です。
笑顔を作るのも始めは勇気がいります。
でも、やってみると結構簡単です。仏頂面で偉そうに現場に来られても迷惑なだけですが、ニコニコした社長は皆が歓迎してくれる。評判も良いとなると気分も良くなります。
あなたの会社です。成果は目に見えます。すぐに、「あの会社の挨拶は気持ちが良い」とビル全体で評判になれば元は、取れそうですね。
著者
川崎美紀(かわさきみき)
研修講師 オフィス リバー
国際線CAとして活躍後JALアカデミーのインストラクターに転職。同時に個人事務所を立ち上げ、全国各地でマナー研修や講演を行う。2012年独立。CDA(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)、キャリアコンサルタント資格を取得し、キャリアカウンセリングにも従事している。著書に『川崎美紀のSMILE通信 きょうもおもてなし日和』(クリーンシステム科学研究所 発行)がある
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