今、あらゆる企業においては、ITやAIを駆使したDXによるデジタル化へと労働環境に変化をもたらしています。
そこで必要とされるスキルを身につけた人材育成に各企業は取り組みを始めています。それが“リスキング”と呼ばれる「仕事をする上で価値を生み出す知識を学ぶ」ことを目的として学習するための取り組みです。
ビルメンテナンス企業においても専門性のある業務や人手不足解消に伴うDX化へと方向転換が余儀なくされていて、従業者のスキル習得が喫緊の課題となっています。
リスキリングとは
経済産業省が提唱しているのが「リスキリング」と呼ばれる言葉で、冒頭にも記述したとおり、近年ITやAIと呼ばれる技術の発達により、働く従業者がそういった知識を習得することを目的とした取り組みを指します。
似た言葉にリカレント教育がありますが、「リカレント(recurrent)」は“反復”や“回帰“といった意味であり、リカレント教育とは”回帰教育“とか”循環教育“と訳されます。これは一般企業に就職して就業上必要な知識及び技術など学生時に学んだことを反復して学び直すことをいいます。
リスキリングとリカレント教育との違いは、リカレント教育は個人が学びたい、または必要に迫られて学び直しをすることであるのに対して、リスキリングは仕事を継続させるために、スキルアップを図る必要性によって学ぶことですが、意味に相違はなく新しくスキルを身につけるということでは共通しています。
リスキリングのメリット
業務のDX化するにあたって従業者が取得した内容を作業に活かすことができ、業務の効率化が進み、作業時間の短縮に繋がって残業などが削減でき、会社と従業者のワークバランスが取りやすくなり双方に満足度を高めるメリットがあり、会社として生産性向上にも繋がります。
また、従業者が身につけたスキルによって、会社内に新しいアイデア等が生まれ、慢性化した社内の業務内容を一変させて時代の変化によって生じる事業の遅延を防ぎ、社内に新風を吹き込ませて経営の鈍化を防ぐ効果があります。
リスキリング教育を導入するには
構成やプログラムの作成
リスキリング教育を行うにあたっては、まず、それぞれの企業の業務の特徴や何を目指すのかによって内容が異なってきます。
事業内容や業務実績及び業務工程などのデータを参考にして、リスキリングをどの様な進め方で習得するべきかを見極めることが必要です。
また、効率よくスキルを習得できるように構成や進め方に気を配ってプログラムの作成を考えることも大切です。
何をコンテンツ(教材)にするか
プログラムの作成ができたら進行に応じて運用の方法や予算に応じてコンテンツ(教材)を決めます。業務内容に対応した紙媒体のテキストやWeb上からも適したコンテンツを拾って使用しても良いでしょう。
従業者に対しては、就業時間外ではなく、予め曜日や時間を決めて勉強会風に行う方法と、各従業者に好きな時間に取り組んでもらう方法でもよいでしょう。
スキルの実践
各従業者が習得したスキルは実際に業務で実践させることが大切です。業務中に時間を決めて社内で試せる機会を作ります。
会社は協力体制を整備、構築し、一定の成果に対して会社はインセンティブを用意しておき、リスキリングによる実績を体感させることによってモチベーションのUPに繋がるでしょう。
ビルメンのリスキリング教育
ビルメンテナンス業務は清掃業務を始めとして衛生管理業務、設備機器の保守点検業務、警備保守業務など多岐にわたります。
各業務についても高齢化社会による人手不足や人材不足に陥っているのが昨今の現状です。
そんな現状を打破する取り組みとしてITやAIなど、いわゆるDXによるデジタル化を推進して活用し、業務に取り入れて業務効率のUPやより良いサービスの提供など事業運営に好影響をもたらすものです。
ビルメンテナンス業界においてもDXを推進していく企業が少なからず増えてきています。
従業者の勤怠管理にはITの活用、清掃業務ではAIロボットを活用した作業、設備機器管理や警備業務の現場ではやはりAIによる遠隔監視機器によっての管理などがあり、デジタル人材を始めとして専門・技術職の人材確保が必要となります。
デジタル人材の採用を新たに外部からスキルを持った人材を調達することも方法のひとつですが、会社の業務内容や作業の進め方に馴染むまでに時間を要するなど難しい状況があります。
社内において既存の社員に対してリスキリング教育の推進を行い、必要なスキルを身につけてもらうことが先決であり企業にとってもスムースな業務体系をとれるメリットとなりうるでしょう。
〇ビルメンテナンス業務にはさまざまな業務に特化した資格(ビルクリーニング技能士などの国家資格など)があり、社員に資格取得を奨励して品質やサービスの向上に役立たせるのもリスキリング教育の一環です。
AIなどデジタル化を推進する企業はリスキリング教育によって人材を育成していかなければなりませんが、外部からの専門家に依頼して教育の必要性や人材の要件、スキルを取得するまでの期間や費用も勘案しなければなりません。
予算などを正しく把握して検討するようにしましょう。
まとめ
これからの時代の変遷によって社会のデジタル化は急速に進んでいくものと思われます。