身動きできないことはもちろん、天候によっては蒸れてしまい暑苦しく感じてしまったりしますし、最悪の場合ぶつかる、荷物が絡まるなど、思わぬ乗客間のトラブルにもなりかねません。
そんな電車の満員具合は「乗車率」という数値で測られることが多いです。
通常の通勤ラッシュの満員電車が110~140程度と言われています。
お盆やゴールデンウィークの帰省ラッシュでは、時々乗車率200%という数字も見られます。
この乗車率、300%であれば、どのようなの状態なのでしょうか?紹介していきたいと思います。
乗車率とは?
そもそも、乗車率とは何かということについて、初めに解説します。
乗車率とは、次のように定義されています。
「輸送人員÷輸送力でしめされる、定員に対して実際に乗車している人数の割合」
ここでの輸送力(=定員)は座席の数ではなく、つり革まで含めた通常の輸送力が分母です。
つまり、単純計算で言うと、乗車率200%は、立ったままで、つり革もない人が倍以上いる状態を示しているということです。
注意したいのは、新幹線の場合は、座席数が定員とされていることです。
ですので新幹線の乗車率100%超えというのは、席が全て埋まり、立っている人がいる状態と考えてください。
乗車率ごとの乗車人数やイメージ
乗車率ごとの乗車人数やイメージについて、紹介します。
乗車率が変わると、車内の様子や混み具合は、以下のように変わると言われています。
・50%
定員の半分。余裕を持って席に座ることができる。吊り革や手すりも空いていることが多い。あまりストレスなく乗れることが多い。
・100%
定員乗車の状態。座席につくか、つり革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる。
・150%
定員オーバーの状態。新聞などを、広げて楽に読むことができる。
・180%
一目で見て「満員だ」と感じられるレベル。折りたたむなどして無理をすれば、新聞などを読むことができる。
・200%
かなり混み合っている状態。体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度ならなんとか読むことができる。
・250%
非常に混み合っている状態。電車が揺れるたび、体が斜めになって身動きができず、手も動かすことができない。
やはり混むほどに、車内でできることには制限がかかってきますし、快適さも無くなってくることがわかります。
乗車率300%はどのくらい?乗ることはできる?
このように乗車率が変わると車内の込み具合、圧迫具合、快適度、車内でできることなどが変わってきます。
では、乗車率300%とはどのような状態でしょうか。
実は、実際に戦後間もない昭和の鉄道では、乗車率300%だったことがあるようです。
その時の状態から推測される、乗車率300%の状態とは、次のような状態です。
・外から駅員が押し込まないとドアを閉められない
・乗れたとして、全く身動きはできない。電車が揺れても、身を任せるしかない。
・コートなどで着膨れしている冬場では、そもそも乗れない
このような状況だったようです。
夏は夏で蒸し暑さと不快さで乗ることは難しく、冬は衣服の影響で乗れないような状態が300%の乗車率と言えるでしょう。
そもそも、駅員が全力で押さないと実現できない乗車率ということで、いかに凄まじいものかということは、お分かりいただけるかと思います。
乗車率300%は怪我や事故につながる?
乗車率300%は非常に混み合っている状態であることがわかりました。このような状態では、怪我や事故は起こるのでしょうか?
実際に乗車率300%の時代の電車では、次のようなことが起こっていたようです。
・蒸し暑さから失神する人がでる
・押し込まれたりぶつかったりして、靴が脱げて無くしてしまう人や、服のボタンがちぎれる人が多発する
・昔の鉄道のガラス強度であれば、圧迫されて鉄道のガラスが割れることがある(現在のガラス構造では割れないと考えられる)
1人ぐらい乗れるかも、と思って満員電車に飛び込んでしまうこともあるかもしれませんが、混雑した電車は、安全とはいえないようです。
まとめ
ここまで、乗車率とは何か、また、乗車率が変化するとどのように車内の様子が変わるのか、そして乗車率300%の実態と起こりうるリスクについて、解説してきました。
今は時代の流れもあり、時差出勤や在宅ワークが一般的になってきました。
そのおかげで、乗車率も、高くて120%程度で収まっていることが多いと言われています。
それでもやはり、通勤ラッシュで気力、体力を消耗してしまい、仕事を始める前に疲れ切ってしまうのは非常にナンセンスですから、今の通勤電車の混み具合が気になっているという人は、ぜひ空いている時間の電車を利用するなど、工夫してみてはいかがでしょうか?