最近よく聞く『コンプライアンス』、その意味をきちんと説明できますか?
よくわからずに使うと、間違った使い方をして恥をかくかもしれません。
今回は『コンプライアンス』について、真面目に学んでみましょう!
本来の意味のコンプライアンスとは?
コンプライアンスは日本語にすると『法令遵守』になりますが、本来はもっと幅広い意味を持つ言葉です。
由来は英語の名詞complianceで、意味は
①(規則・要請・法令・命令などに)従うこと
②言いなりになること、盲従すること
です。
つまり、本来の意味は法令だけでなく、ルール全般に従うことなんですね。
コンプライアンス=『法令遵守』になった背景
では何故日本ではコンプライアンス=『法令遵守』になったのでしょうか?
その背景には1987年におきた東芝機械ココム違反事件というものがあります。
ココムというのは、冷戦時代にあった対共産圏輸出統制委員会という組織で、日本はその加盟国であった事から、ココム違反=外為法違反を意味します。
…難しい事はわからなくても大丈夫です。
簡単に言えば、安易な気持ちで外為法を破ったら、日米の外交問題に発展してしまった、という事件です。
この事件の余波から『法令遵守』が重視されるようになり、アメリカの『企業コンプライアンス・プログラム』という「企業が法令遵守を徹底する為のプログラム」を導入する日本企業が増えました。
このような背景から、コンプライアンス= 法令遵守という意味として認識されるようになったのですね。
コンプライアンスにおけるリスクマネジメントとは?
リスクマネジメントは大小問わず企業なら必要な管理業務のひとつです。
将来的にリスクになりうる事や経営の妨げになる事を把握し、除外・解決していく事が大切です。
では、コンプライアンスにおけるリスクマネジメントとはどういう事でしょうか?
実はコンプライアンス違反の末、倒産する企業は年間200件近くあります。『脱税』や『業務違反』だけでなく『著作権法違反』や『労働法違反』などもコンプライアンス違反に含まれます。
『コンプライアンス違反が引き金となって倒産するリスク』を避ける為にも、コンプライアンス違反が起きないよう、社員教育や組織のあり方をチェックし、リスクマネジメントする事が大切です。
コンプライアンス遵守という言葉は間違い??
さて、コンプライアンスについてわかってきたところで、言葉の使い方を再確認しましょう!
まず『コンプライアンスの遵守』…コンプライアンスは日本語にすると『法令遵守』でしたよね。つまり、法令遵守の遵守となる『コンプライアンスの遵守』は間違った使い方です。
つぎは『コンプライアンス違反』…これは『法令遵守』の違反、になるから間違いかと思いきや、コンプライアンス違反=『法令違反』と言い換えられるので、正しい使い方です。
『コンプライアンスの徹底』…もうお分かりですね!『法令遵守』の徹底ですから、正しい使い方です。
他には「コンプライアンスを意識」「コンプライアンスの観点」「コンプライアンス的には…」のように使う事が出来ます。
コンプライアンスを徹底する為にはどうすればいい?
先述したとおり、コンプライアンスの徹底はリスクマネジメントに繋がります。社員一人一人のコンプライアンス意識の低さが事業を窮地に立たせるかもしれません。
そうならない為にも、コンプライアンス教育を徹底しましょう。
コンプライアンス意識を高めるためには、ルールに従う習慣作りが大切です。就業規則や行動規程など、社内ルールの遵守を徹底しましょう。
もし、社内ルールがおざなりになっていた場合、社員を叱る前に何故そのルールが守られていないのかを考える事も大切です。
時代の風潮に見合っていない服飾規定であったり、サービス残業が多いのに就業時間厳守といった矛盾が生じていないか確認します。
また、コンプライアンス研修も効果的です。
社員が一緒にコンプライアンス研修を受ける事で、互いのコンプライアンス意識を高めあう事が出来ます。
日常業務で気付かず行われていたコンプライアンス違反もあぶり出せるかもしれません。
ハラスメントにも注意!
コンプライアンスとハラスメント、一見なにも関係ないようですが、ハラスメントは人権侵害のひとつです。
日常的にハラスメントが行われる職場ではコンプライアンス違反も起こりやすくなるといえるでしょう。
セクシャルハラスメントやパワーハラスメントの防止に努め、被害者が相談できる窓口を設置しておくと良いかもしれません。
それもリスクマネジメントの一環ですね。
まとめ
コンプライアンスの遵守…
ではなく徹底を心がけて、コンプライアンス違反の防止に努めましょう。
もし万が一、社内のコンプライアンス違反に気付いたら、初期対応が何よりも重要です。
隠蔽せずにすぐ改善しましょう。