お客様から「テラゾーの床の凹凸で困っている」とのご相談をいただきました。(下の写真をご覧ください)。
本題に入る前に、人造大理石「テラゾー」について説明します。
テラゾーは天然大理石や類似する石材の砕石を白色セメントや樹脂などに混ぜて固め、磨いて大理石のように仕上げた半人工素材です。
仕上げに研磨作業が必要なため、石材部分は光沢が出ますが、セメント部分ツヤが出にくいため半艶仕上げのような見え方になるケースが多くなります。
よく、「人工大理石」と混同される方が多いですが、全く違う素材です。
人工大理石はアクリル樹脂やポリエステル樹脂を主成分とした人工素材ですので、天然石材の成分は入っておりません。
最近の人工大理石には、より天然石に近づけようと石灰の粉や石の粉などを混ぜてつくるキッチン天板もありますが、石の粉が入っているから人造大理石なのかというとそれは違います。
石の粉は天然石の素材感は完全に失われているので、やはり人工大理石のカテゴリーになります。
本題に戻りますが、某施設の床材にテラゾーが使用されており、その上に大きなモニュメントが置かれておりました。
内装工事に入った際にモニュメントをどかしたところ、画像のように継ぎ目部分が盛り上がった状態になっていたとのことでした。
恐らくですが、竣工当時にモニュメントが置かれることがわかっていたので、テラゾーを研磨してフラットにする作業を怠ったのかもしれませんね(笑)。
施工方法の解説
テラゾーは大理石と同じメンテナンス方法で施工が可能ですので、再研磨で対応いたしました。
まず、最初から研磨すると、厚みを削るのに時間がかなりかかってしまうので、ノミと小さなグラインダーで可能な限りフラットに近い状態まで削ります。
ざらつきや凹凸は残りますので、しっかりと平滑面にさせるため、マイクロポリッシュ#2を4枚ストーンマスターポリッシャーに装着し、研磨を始めました。
水を出しながら研磨を行い、素材表面がフラットになったことを確認し、マイクロポリッシュ#3 ⇒ NCAダイヤパッド#400 ⇒ NCAダイヤパッド#800 ⇒ NCAダイヤパッド#1500 の順番で研磨しました。
粒度の細かい番手で研磨していけばツヤは上がりますが、周りとツヤの差が出ると違和感が出ますので、#1500で止めております。
また、最後に研磨痕を目立たせなくするため、「ナノコンパウンド」を使用しました。
ナノコンパウンドはツヤを上げる仕上げ材で、人工大理石や車のボディにも使用されております。
小傷を消しながらツヤを上げることが可能ですので、半艶(水磨き仕上げ)で研磨作業を終える際に目立つ研磨痕を目立たせなくしながらツヤを上げてくれる優れものです。
ウールバフやウレタンバフに少量付けて、ポリッシャーやハンドポリッシャーで回しながら仕上げます。
今回は部分研磨でしたので、研磨した部分と周囲と比べて色の差が出ております。中央の白い筋は、目地になります。周囲との色の差が出てしまうことをご了承の上での施工でしたので、ご満足いただけました。
▲施工前
▲施工後
著者
新井田康介(にいだこうすけ)
株式会社タックアンドカンパニー代表
株式会社タックアンドカンパニーは、国内初の石材メンテナンス会社として1985年に創業。
数多くの建材に使われる素材の中で、最もメンテナンスが難しいとされる石材をいかにシンプルに綺麗に維持できるかを追い求め、最適なメンテナンス商品を開発しました。
特に研磨に関しては、今まで不可能とされてきた黒御影石とセラミックタイルの完全修復を可能とした「マイクロポリッシュ」を開発。大理石フロアーの 再研磨だけでも10万㎡以上の実績があります。
株式会社タックアンドカンパニー HP
石材メンテナンスに関するご相談・お問い合わせはこちら