そもそも技能実習生制度とは?
技能実習制度とは、技能実習生として来日する開発途上国の若者にOJTを通して日本の技術を伝え、帰国後に母国の発展に役立ててもらおうという目的で創設された制度です。
OJTの期間は原則として3年間で、OJTが適切に行われているかどうかを測定するために、2年目移行前と帰国前に学科試験・実技試験が行われます。
技能実習制度は試験が開催されている職種でのみ活用できることとなっています。
2023年1月時点では、ビルクリーニング業や建設業をはじめとする86職種について、3年間の技能実習生の受入れが可能です。
また、技能実習生に日本語がまったく通じないということでは、OJTは適切に行えません。
技能実習生は、入国前に5カ月程度日本語を勉強し、入国後もさらに1カ月追加で日本語を勉強をするのが基本です。
本人の資質・やる気などによっても異なりますが、入社するころには、易しい日本語でゆっくり話せばコミュニケーションが取れるレベルになっています。
技能実習生はなんのために日本に来るの?
「OJTを通して開発途上国の若者に日本の技術を伝える」という技能実習制度の創設目的は、日本側(より厳密に言うと日本政府)が設定したものです。
技能実習生自身はそれぞれに日本に来る目的を持っており、その多くはお金を稼ぐことです。
技能実習生の出身国は、ベトナムやインドネシアなど東南アジアが大半を占めます。
東南アジアでは国外へ出稼ぎ労働に出る人も少なくなく、韓国や中東などと並んで日本も出稼ぎ先の一つとなっています。
出稼ぎを考えている東南アジアの若者にとって、日本は治安がよく、快適な住環境を整えてくれるといった点が長所ですが、日本語を学ばないといけないなど就労を始めるまでに時間がかかるところが難点です。
もちろん、日本側の「技術を伝える」という目的に沿って、仕事の技術や日本での働き方を学ぶために来日する技能実習生もいます。
技術の習得が優秀な技能実習生は、帰国してから、技能実習をしていた会社の海外工場で現地スタッフのリーダーを任されるという事例もあります。
技能実習生を活用した成功事例
1.外国人材の受入れを技能実習生から高度外国人材へ拡大
兵庫県のフルヤ工業株式会社では、金型の企画及び設計が可能な技術者の確保・育成・定着を目指して技能実習生の受入れを検討し始めた。
外国人受入れのノウハウが全くなく、ベトナム人を受け入れている取引先を探して見学するなどの準備を重ね、2003年に技能実習生2名を受け入れた。
実際に受け入れてみると働きぶりへの評価が高く、受入れ人数も拡大。
2008年には、ベトナム人技能実習生のコミュニケーションを円滑にするため、技能実習生の面倒を見ることができるベトナム技術者を正社員として採用した。
2017年には、国内で確保できなかった金型の技術者を1人採用した。
同社では外国人受入れのノウハウが全くなかった状態から技能実習生の受入れを成功させ、さらに高度外国人材のベトナム人技術者の受入れを成し遂げることができた。
2.ベトナム新工場で工場長に就任
溶接の技能実習を行ったベトナム人元実習生は、帰国後、受入企業が新たに設立した建設機械製造会社に就職。
元実習生は就職したその会社で、仕事の技能や日本語能力が評価され、翌年に工場長に昇進した。
工場長に就任後は、社員への溶接技術教育、社員の指導・管理、生産管理や日本の会社との連絡業務などを担当し、同社の発展と溶接の技術移転のために尽くしている。
そして、管理者としてのマネジメントスキルを身につけるため、「企業内転勤」の在留資格で再来日し、管理職のノウハウを学ぶほか、溶接技術を更に向上させるための努力を続けている。
3.タイの合弁会社で日本人幹部との橋渡し役に
自動車の窓枠メーカーでプラスチック成形の技能実習をしたタイ人実習生の女性は、帰国後、同社が紹介した日系企業に就職し、実習で修得した技能を活かせる作業に従事している。
タイは東南アジアのハブ的存在で、日系の自動車メーカーが多数進出している。
元実習生が就職した企業は、日本の企業がタイの企業と共同設立したもので、自動車の一次下請けとして部品の製造をしている。
この企業は数年前まで従業員が1,000人規模であったが、現在は倍の2,000人規模にまで急成長をしている。
元実習生はこの企業から即戦力として重宝されており、リーダーシップもあるので作業現場を任せられる存在となっている。
また、日本語の会話ができるので、日本人の幹部社員とタイ人社員のコミュニーケーションの橋渡し役としても活躍している。
本人も、技能実習で培ってきた経験や知識を活かして、やりがいのある仕事ができると喜んでいる。
技能実習生はなんのため?のまとめ
ここまで成功事例を3つご紹介しましたが、このような好事例とまではいかなくとも、3年間リタイアすることなく仕事を続けてくれることそれだけで受入れは成功です。
日本人を採用したとして、3年以上続く人は多くありません。こういった点からも、技能実習制度は多数の企業が活用するに至っています。
しかし考えなくてはならないのは、永遠に技能実習生が来てくれれるかの補償はないということです。
そのため、できる限り自国の問題は自国で解決する必要があります。
コロナのパンデミックや急激な円安があると、安定して技能実習生がくるという補償はありません。
何も人で不足を人で補うことはなくなってきています。
それが、清掃ロボットだったりChat gptだったり、センサーだったり解決策は一つではありません。
もし、人でお困りならビルポの求人DXの活用や建物管理のDXを始めてみてはいかがでしょうか?
私たちが全力でサポートします。
お問合せはフォームよりお願いいたします。
参考資料
外国人技能実習機構「帰国後技能実習生のフォローアップ・アフターケア等に関する取組好事例」(https://www.otit.go.jp/files/user/%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96.pdf)[参照2023-1-28]
経済産業省(https://jirei-navi.mirasapo-plus.go.jp/case_studies/133)[参照2023-2-2]