人に何かしらの害を与える虫のことを「害虫」といい、オフィスビルをはじめ、ショッピングモール、飲食店、学校、病院など、様々な施設のメンテナンス業者はその存在に苦労しています。
本記事では、ビルメンテナンスにおける害虫に焦点を当て、その種類、駆除を行う重要性、ビルメンテナンス業者によくある悩み、最も有効な解決策について解説していきます。
ビルメンテナンス業者の方など、ビルの管理関係者はぜひご覧ください。
ビルメンテナンスにおける害虫
アリ、クモ、ムカデなど、害虫と呼ばれる虫は数十種類存在していますが、ビルメンテナンスに限定すると主に以下の7種類が該当します。
・ゴキブリ
・ダニ
・蚊
・トコジラミ
・カメムシ
・ハチ
・ねずみ
それぞれ詳細に解説していきます。
ゴキブリ
ゴキブリは、ビルメンテナンス業者が最も悩まされる害虫です。
見た目や素早さに対する不快感だけでなく、病原体の媒体となり健康被害が生じることや、死骸や糞を原因とするアレルギー反応など、実害も生じます。
他にも、コードをかじることにより、機械類の漏電・接続不良を発生させるリスクもあり、最悪の場合、火事や停電に繋がることも少なくありません。
また、成長速度が非常に速いため、1匹を駆除しても幼虫が潜んでいる可能性もあります。
完全な駆除の難易度が高いこともあり、ゴキブリは決して軽視してはいけない害虫です。
ダニ
一般家庭に住みつくイメージが強いダニですが、ビルなどの施設でも様々なトラブルを発生させる害虫です。
イエダニ、ツメダニ、ヒョウヒダニ類といったように、種類によって大きさや吸血の有無などが異なります。
主に「吸血被害」と「アレルギーの原因」の害を発生させます。
駆除の難易度も高く、見える大きさのダニは発見して駆除できますが、目視できないダニの場合は素人では難しいです。
専門業者への依頼と、専門の調査薬剤を使用して発見・駆除しなければなりません。
蚊
吸血被害と伝染病の媒介被害を発生させる蚊も、ビルでは気を付けなければ害虫です。
吸血被害を発生させるアカイエカに加えて、ヒトスジシマカはデング熱を媒介させるため非常に危険です。
後者の発生が確認された場合には、早急に駆除しなければなりません。
幼虫の発生防止から確実な駆除まで、専門業者に依頼しましょう。
トコジラミ
吸血被害を発生させるトコジラミは、駆除が難しいだけでなく、防除も困難を極める非常に厄介な害虫です。
成虫は目に見える大きさですが、卵や幼虫の段階では目視ができないため専門業者の駆除・防除が必要不可欠です。
カメムシ
2020年、2021年に大量発生し、日本中で様々な被害を発生させたカメムシ。
ビルメンテナンス業界においても、脅威となる害虫の一匹です。
主に春と秋に発生し、白いものや明るいものに集まります。
オフィスビルのように、夜間に際立った光を放っている施設には特に集まりやすく、窓や入口付近、屋内など幅広い範囲で確認されます。
悪臭を放つだけでなく、その数の多さからメンテナンス作業にも支障が出る、厄介な害虫です。
ハチ
本来の生息地である山間部が減少した現代において、人が多い都市部に住む場所を広げざるを得なくなったハチ。
スズメバチなど刺されると最悪の場合死に至ることもあり、非常に危険な害虫です。
ビルに蜂の巣をつくられた場合は、利用者やビルメンテナンス業者に危険が及びます。
しかし、素人が駆除するのはリスクが伴うため、専門業者への依頼が必要です。
ねずみ
厳密には「害獣」に分類されるねずみですが、害虫の一種として扱うことが多いためここで紹介します。
尿や糞といった排泄物にサルモネラ菌などを含み、それを媒介して食中毒を発生させる危険性がある他、ネズミに寄生しているダニなどをビル内で繁殖させる可能性もあります。
また、家具や備品、各種コードなどをかじることで、漏電や火事の原因にもなる害虫です。
ビルメンテナンスにおける害虫駆除の重要性
このように様々な被害を発生させる害虫。もしその存在を放置しているビル管理者がいらっしゃる場合には、至急駆除を実施してください。
ここからはビルメンテナンスにおける害虫駆除の重要性について深掘りしていきます。
ビル利用者の満足度向上
人は「虫」に対する嫌悪感が強いため、利用者にとっては虫が発生しているビルを利用することを拒みます。
満足度が低下すると、テナント企業や居住者から多くのクレームが発生するだけでなく、最終的には撤退を選択する可能性もあるでしょう。
それを避けるために、害虫の存在は駆除しておかなければなりません。
特に飲食店が入っているビルは、食中毒や自店舗の評価低下に繋がるため、害虫の存在に敏感です。
徹底した駆除を定期的に行うようにしましょう。
電気設備類の故障防止
ゴキブリやねずみは、パソコンなど電気機器のコードをかじってショートさせることが珍しくありません。
故障の原因をたどると、ゴキブリやねずみが周辺に巣を作っていたというのはよくある話です。
テナント企業からすると、営業活動にも支障をきたすため必ず避けたい事態です。
またビルの電源を管理する場所でそれが発生した場合には、ビル全体の電源がショートする可能性もあります。
火事に繋がる恐れもあるでしょう。
食中毒発生のリスクを抑える
害虫には、体内や体表に病原体が付いており、それが食べ物や空気中を介して私たちの体内に入ってきます。
こちらは避けようと思っても、害虫がビル内にいる場合には避けるのが極めて難しいです。
特に飲食店にとっては、営業停止にも繋がる致命的なリスクなので、ビル管理者やビルメンテナンス業者は責任をもって対応する必要があります。
ビル管法の順守
ビル管法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)とは、不特定多数の人が利用する施設の維持管理について、環境衛生の観点から確認が必要な事項を定めた法律です。
ビルの経営やビルの管理をするうえで、避けては通れない法律・制度であるため、ビル管理業の中で最も基本的な法律とされています。
この中の項目として衛生管理、つまり害虫の駆除は含まれており、きちんと対応しなければ法律違反になってしまいます。法令遵守の観点からも、害虫駆除は行わなければいけません。
※ビル管法についての詳細は『【令和4年改正】ビル管法とは?対象建築物の基準・点検項目を解説』をご覧ください。
ビルメンテナンス業者によくある害虫の悩み
では、ビルメンテナンス業者は害虫に関してどのような悩みを持っているのでしょうか。
よくある悩みを3つピックアップして紹介します。
害虫が多すぎて手がつけられない
カメムシが一匹窓に付いている程度では困りません。業者が困るのは、素人では手がつけられないほど数が多い場合です。
市販の殺虫剤を利用しても駆除しきれない数がいるので、作業に支障が出ることもあるでしょう。「数」はもっとも多い悩みといえます。
駆除してもまた発生する
目に見える範囲で駆除してもまたすぐに発生してしまう、予防の薬を使用しても効果がない、といった悩みも非常に多いです。
害虫は大量発生・複数行動が原則です。素人の駆除では効果がありません。
昼間は利用者が多く駆除作業ができない
昼間はビルの利用者が多く、大量の殺虫剤を使用できないといった悩みも多いでしょう。
駆除活動が利用者に害を与えては本末転倒です。そもそも「駆除作業ができない」という悩みは、避けるのが難しい問題です。
ビルメンテナンス業者がとれる害虫駆除方法
このような悩みが伴う場合、最も有効な解決策は専門業者に依頼することです。
専門業者へ依頼すれば、プロが選んだ駆除方法を活用できます。
また、駆除作業の効果検証・再駆除作業をサービスとする業者もあり、確実に害虫の発生を防ぐことができます。
また夜間に対応している業者も多いので、利用者がいないタイミングでの作業も可能です。確実な害虫駆除を検討しているビルメンテナンス業者は、専門業者への外注も検討すべきでしょう。
公益社団法人 日本ペストコントロール協会の加盟企業の中から、自ビルの地域に対応可能な業者を選定してみましょう。
<<さいごに>> ビル管理者は害虫対策を徹底し積極的に業者を利用しよう
害虫駆除は、ビル管理・ビルメンテナンスにおいて非常に重要な項目です。
一方で、素人作業では完全駆除・発生防止は難しいので、積極的に専門業者に依頼することをおすすめします。
利用者も、メンテナンス業者も、ビル管理者も、安心して利用・管理できるビルが増えていくと、より持続可能な社会の実現にも繋がるでしょう。
▼参考URL
https://www.gijutsushikaku-guide.net/extermination-of-harmful-insects
https://www.to-wa.info/pests/
https://www.sbls.co.jp/news/bldgmanagement/detail.html?id=2288
https://www.1974.co.jp/pest
http://www.03biotech.com/emergency/building/louse/