スマートシティという言葉がしばしばメディアで取り上げられるようになりました。
先端技術を駆使することで快適に都市で生活するアプローチのことです。
なぜスマートシティが注目を集めるようになったのか、現在抱えている課題についてここで詳しく見ていきましょう。
第3次ブームに突入
スマートシティという言葉を今回初めて聞いたという人も多いかもしれません。
しかしスマートシティという言葉は前からしばしば取り上げられてきました。
2022年現在、今のスマートシティブームは第3次ブームといわれています。
2000年代から登場した概念
実は「スマートシティ」という言葉は2000年代に出現したワードでした。
2000年代に最初に注目されたときにはエネルギーマネジメントをメインとした考え方でした。
そして2010年代に第2次ブームが到来しました。
このときにはビッグデータを駆使することで都市部の抱えている問題を解決しようという発想でした。
2020年代の第3次ブームではそれまでのブームで登場しあプラットフォーマーを横につなげることで社会的な課題を解決しようというアプローチです。
国を挙げての施策に
第3次スマートシティでは、国も力を入れています。
2020年には
「スーパーシティ構想」
というものを発表しました。
「丸ごと未来都市」
ともいわれていて、エネルギーや交通といった特定の分野にとどまらず生活全般の利便性の向上を目指すというものです。
スマートシティ構想の公募を行ったところ、2021年4月までに実に31もの自治体が手をあげています。
2,000億ドル超のマーケットに?
スマートシティに関するマーケットの調査も進められていて、2025年には2,410億ドル規模にまで発展するといわれています。
地域別にみると、アジアにおけるマーケットの急拡大が期待されています。
2025年には全世界の半分のシェアを占めるのではないかとみられています。
日本が力を入れている背景にはこのようなマーケットの急拡大も関係しているのでしょう。
プラスして日本は少子高齢化がどんどん進んでいます。
現役世代が少なくなり、高齢者の割合が増え社会保障費が増大しています。
財政悪化に苦しむ自治体も増えていて、2050年までには半分の都市がなくなるという予測も出ているほどです。
そこで最新テクノロジーを駆使することで持続可能な状況に持っていきたいという思惑もあります。
スマートシティの抱える課題とは?
スマートシティで最新鋭の技術を駆使することで、生活利便性が向上するのは好ましいことです。
しかし一方で課題や懸念されるポイントもいろいろと指摘されています。
どのような問題を抱えているかについて、いくつかピックアップしてみました。
ネットワークが停止するリスク
すでに私たちの生活にはネットワークなどの技術が浸透しています。
ところがこのネットワークが動かなくなると生活に支障をきたします。
日本でも某メガバンクのシステムが動かなくなったことでATMやネットバンキングの取引が一切できなくなりました。
スマートシティの場合、これが生活全般にわたってネットワークで運用する形になります。
もしシステムダウンした場合、生活面で深刻な影響があるでしょうし、大規模に運用する場合復旧するまでに時間もかかります。
システムダウンに関連する課題として、サイバー攻撃にどう対処するかも今後の課題といえます。
実際に世界ではサイバー攻撃における影響も出ています。
アメリカでは石油パイプラインのシステムがハッキングに遭って、データロックされる事件がありました。
石油パイプラインをはじめとしてインフラにかかわるシステムを攻撃された場合、私たちの日常生活がストップすることもあり得ます。
プライバシーがなくなる?
スマートシティの場合、ネットワークを接続することで生活の情報を収集して、人々の利便性を向上させようというものです。
となると私たちが丸裸にされている状況になりかねません。
実際カナダでは「Sidewalk Toronto」というスマートシティ計画が立案されています。
ここではいろいろな場所にセンサーを設置するというものです。
このセンサーを使って各家庭の水道の使用量やごみの排出量、さらには人々の行動に関する情報を集められていたといいます。
人々のプライバシーを守りながら、どのように生活に関する情報を収集するかも今後のスマートシティの課題になるでしょう。
まとめ
ここで見てきたようにスマートシティにはいろいろな問題を抱えているのは事実です。
しかし、人々のニーズが多様化している現在、それぞれの価値観やライフスタイルに合わせるためにはデータを有効活用することが求められます。
スマートシティには多様化する人々の要望に柔軟に答えられる可能性を秘めた存在といえます。
だからこそ、国も民間もスマートシティの発展に注目しているわけです。