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ビルメン業務のインシデント管理

ビルメン業務のインシデント管理

ビルメンテナンス業務は、衛生管理業務、設備管理業務、警備保安業務が主な業務形態となっています。

 

それぞれの業務においては、器材、用具、薬剤などを用いて作業を行っていますが、扱うのは人の手を介しての作業であって、注意力が散漫になると事故につながる恐れが生じ、労働災害の発生する危険性が高くなります。

 

現場作業における危険予知を入念に把握して、いわゆる「インシデント管理」を実行して従事者に対して強い安全意識をもって作業に当たってもらうことが重要です。

 

作業従事者の安全確保に必要なインシデント管理について述べてみます。

 

■インシデント管理の意味

出典:YouTube

■インシデント管理の意味

Incident(インシデント)は“事件”と訳されますが、通常は“事故に繋がる状況”や“サービスや作業に悪影響を及ぼす状況”と意味します。

 

つまり、作業中に“ヒヤリ”としたり“ハッ”とする状況が生まれることを指し、いわゆる「ヒヤリ・ハット」と言い、重大な事故につながるかもしれない状況をインシデントと呼んでいます。

 

社内において「事故に繋がりかねない好ましくない事象」を重大なインシデントが生じている状況の問題解決に取り組むことを「Incident Management(インシデント管理)」と定義しています。

 

 

〇ヒヤリ・ハットとは

自動車の運転中にもよく起きる現象で誰にでも憶えがあると思います。

 

作業現場で感じた危険予知、すなわち、重大な事故までには至らなかった小さなミスのことで、突然に起きる事象によって“ヒヤリ”としたり“ハッ”としたりと身体に感じた現象のことを指します。

 

ヒヤリ・ハット現象は製造業、サービス業、建設業、医療介護、警備業務などさまざまな業態でも起きる現象で、ビルメン業務でもご多分に漏れず起こりうることです。

 

 

〇ハインリッヒの法則

「ハインリッヒの法則」とあまり耳慣れないフレーズは、アメリカの「ハーバート・ウィリアムス・ハインリッヒ」が、多くの労働災害を統計学的に調査分析して導き出した法則で、1件の事故が発生する要因としてヒヤリ・ハットから始まりピラミッドを形成する「障害四角錐」や別名「ハインリッヒの災害トライアングル定理」とも呼ばれています。

 

この法則は現在、種々な労働現場において重大事故発生への注意喚起に活用されています。

 

この図解が表す法則の通り、1件の重大事故を防ぐ手立てとして、軽微にみられるヒヤリ・ハットを見逃さず、小さなミスや注意事象が発生したら、上司に報告して即時に原因など検討調査を行い、改善していくことが大切です。「予防処置報告書」のフォーマットを事前に作成しておくのも手段のひとつです。

 

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■インシデントとアクシデントの違い

インシデントが“事件”の意味に対し、「Accident(アクシデント)」は“事故”そのものの意味となります。

 

ミスや事故の発生原因(ヒヤリ・ハット)であるインシデントを見逃し、また改善の方策を取らなかったためにトラブルや事故に発展してしまった状態をいいます。

 

■ビルメン業務のインシデント

ビルメンテナンス業務においても最近は器具や薬剤など安全性のある使い勝手のより良いものが開発されて使用されてきていますが、従業者の人手不足によって労働環境の悪化や、複数現場での作業の効率性を求めることによって、安全性への認識が薄らいでしまうヒューマンエラーによる危険度察知が軽視されて事故に繋がるケースが多くみられます。

 

ヒヤリ・ハットを見過ごして思わぬ事故に繋がるリスクがあります。長時間労働による疲労での注意力散漫や使用する器材の事前点検などを怠ったために労働災害が発生した事象もあります。

 

これらは企業のインシデントに関する認識の甘さと、ヒヤリ・ハットの報告が適切にされずにコミュニケーションもうまく機能せず、改善の方策も図れていなかったことによります。

 

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■ビルメンテナンス業務での労働災害事例

注意を怠ったために発生した事例を挙げてみますが、これはほんの一部であって、作業中の事故は思わぬことで発生します。

 

過去のヒヤリ・ハットを思い返し、“これをこうすればこうなる”と予知を働かせることも大切です。

 

〇清掃業務

清掃作業従事者は高齢者が多い傾向であるので、作業開始前のミーティングなどによって注意喚起を行うことが大切です。

 

・床面清掃中に洗剤ですべって転び、腰を痛めた。

・床面清掃中、ポリッシャー運転中に電気コードを巻き込んだ。

・床面清掃中、電源タップに水が掛かりショートさせてしまった。

・窓清掃中、両手に用具を持ったまま3段の低脚立を登ろうとして足を滑らせて転落。手、足に軽傷を負った。(転落事故は骨折や頭部を打つなど重大な労働災害となる。高所作業は特に注意が必要)

・ゴミの分別中に手袋をしていなかったために金具で手指の切り傷を負った。

・医療施設の清掃作業中、ゴミ処理中に注射針が入っていて指に刺さった。(医療施設関係者が注射針廃棄ルールを遵守していなかった事故)

 

〇設備点検業務

設備点検業務は特殊な設備及び器材・薬剤などを使用することが主な業務となりますので、始業前点検やミーティング等で安全確認を行いましょう。

 

・消防設備点検中、高所にある設備器具点検を行おうとして脚立から足を踏み外して転落。

・夏の高温時、ビル屋上での空調機点検中に熱中症による意識混濁で救急搬送。(自身の体調管理及び高温時での熱中症対策を十分に行う。)

・ボイラー室で定期的に行う蒸気排出作業中に止め金が不十分であったため蒸気が噴出して足に掛かり火傷を負った。(蒸気管についている止め金をよく確認しなかった漫然事故)

 

〇警備業務

人的警備業務では巡回中の事故が多く、特に夜間の巡回作業では、睡眠不足による疲労などで注意力が散漫になり転倒事故が起きます。また駐車場での誘導作業中の事故が見られます。

 

■インシデントへの心得

重大な労働災害を防ぐインシデント対策は、同様のインシデントは起こさないことが重要で、原因の解明と素早い改善をする、インシデント報告、原因究明、改善と問題管理を行うインシデント管理を運用することが大切で、企業のリスク管理にも効果が期待できます。

 

〇労働災害を起こさないために

ビルメンテナンス業務は顧客に対してより良いサービスを安全に遂行することが望まれます。では、安全に作業するための心構えとしては、

 

・顧客からの仕様をよく理解し、作業フローやルールは必ず守りましょう。

・従業者自身が身勝手な行動をしてはいけません。

・作業に使用する器具、用具、薬品の適切な点検や整理整頓を心がける。

・従業者同志のコミュニケーションは大事。

・ヒヤリ・ハットが生じた時は速やかに報告する。

 

■まとめ

公財「日本ビルメンテナンス協会」がまとめた労働災害の事例集によると、ビルメン業務で一番多いのが立体面の作業による転落事故、次いで転倒事故となっています。

 

設備関係でも高所作業からの落下が多く見られ、複数人員での作業と安全保護具を着用しての作業を行うことが大切です。

 

インシデントに関連した事例などをご紹介して基本的なルールを説明してみました。

 

普段の作業のなかで誰でもが感じるヒヤリ・ハットなどインシデントに繋がる情報を社内で共有することが労働災害を未然に防ぐ手段となります。

 

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