公益社団法人全国ビルメンテナンス協会と一般社団法人日本能率協会が共催する、「ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO2025」が11月19日(水)より3日間、東京ビッグサイト西展示棟にて開催されています。
本展は年に1回開催される、国内最大規模のビルメンテナンス分野に特化した専門展示会です。今年は約150の企業及び団体が出展。清掃・衛生資機材を中心に人手不足対策や省エネルギー、ソフトウェア、設備・点検、などビルメンテナンスに関するさまざまな商材が一堂に会します。
近年は業界の深刻な人手不足を背景に清掃ロボットが台頭し、メインストリートがロボットメーカーで埋め尽くされるほど。どんなロボットが新たに登場し、またどんな進化を遂げたのか、各ブースの様子を速報としてお届けします。
アイウイズロボティクス【3-Q08】

清掃スタッフの代わりではなく、人と違和感なく共存できる次世代型ロボットの開発に力を入れてきたアイウイズロボティクス。
ファミリーマートへの導入で話題を集めた『J30』上位モデルである『J30 Pro』が新たに登場(写真左)。吸引力が強化されており、これまで以上にしっかりと清掃と販促を同時に行うことができる。フラッグシップモデルである『J35 Pro』もパワーアップ。給排水工事を必要としない、移動式水タンクとの連携で全自動で水を交換。さらに左右に装着されたサイドブラシが横にスライドしてより広い範囲のゴミを回収することが可能になっている。
また、ブース内にはトイレ清掃ロボット『T1』を展示。自走式ではないが、便器の前まで移動させるとロボットアーム先端のブラシを次々と交換しながら、便器の内外を清掃してくれる(写真右)。
iKitbot【3-V06】

iKitbot(アイキットボット)ブースでは、パーツの組み換えなしで乾・湿両方の作業を同時に行い、1パスできれいにすることができる『ONE S55』が進化した『ONE S55 Pro』を展示。メンテナンス性の高さはそのままに障害物検知機能が強化されたほか、新たにサイドブラシが装着されたことで、ゴミの回収範囲が広がっている。
また、紫外線により清掃と同時に殺菌作業も行う『ONE S55 Pro with UVC』のほか、販促用モジュール付きのモデルもラインナップ予定。
i-team japan【4-D16】

主にホテルでの活躍が想定されている『co-botic 1900』が新登場。コンパクトサイズながら最大5時間の稼働を実現、バッテリー交換式でなので、予備のバッテリーに交換し続ければ時間にとらわれず清掃を続けられる。
底面にはスプリング式でタイプの異なるデュアルブラシが装着されており、凹凸のある床面でもしっかりと除塵、その間に人が立面や水回りの作業を行うことでより効率的な客室清掃を行うことができる。
アイリスオーヤマ【3-B02】

アイリスオーヤマのブースでは『Whiz』の後継機として自社開発された集塵ロボット『JILBY(ジルビー)』を展示。同じく自社開発のスクラバーロボット『BROIT(ブロイト)』と組み合わせた運用が期待される。
『JILBY』は同社がこれまで蓄積してきた知見をもとに開発されており、ステーションによる自動充電のほかに、バッテリー交換、コンセントからの給電と、3種類の充電方法に対応。また清掃中の稼働音を抑えた「静音モード」を搭載する。さらにNTT西日本グループが提供するAI機能と連携することで、ロボットとの音声・テキストによるコミュニケーションのほか、清掃頻度やルートなどの提案を受けられるという。販売は2026年半ばを予定。
アマノ【3-K08】

2026年春に登場予定の業務用乾式ロボットをお披露目。まだ機種名も決まっていないが、同社の床洗浄ロボット『HAPiiBOT(ハピボット)』のノウハウを搭載しており、AIで人とモノを正確に判断して自律走行を行うことが可能だ。
コンパクトでかわいらしい見た目ながら、壁際0cmまでしっかり清掃、2リットルの荒ゴミボックスを備えるなど除塵能力の高さがうかがえる。
日々のメンテナンス性が重視された設計で、バッテリー交換も簡単。オプションで自動充電ステーションも用意されている。
エムエムインターナショナル【4-D19】

見た目は小型だが中型ロボットと同等のスペックを誇る『JINNY20』。昨年の発表からすでに全国での導入は1000台を突破し、延べ床面積は東京ドーム約500個分を達成している。
ブースでは小売店、ホテル、パチンコ/飲食店を模したシチュエーションでデモ走行を実施。充電ドックだけでなく、バッテリーの差し替えも可能なうえに除塵だけでなく水拭きも可能と、さまざまな現場に対応する。また、繰り返しバージョンアップが行われており、その精度も日々上昇している。
Aoting Lntelligent Technology【3-W04】

Aoting Intelligent Technologyは中国の清掃ロボットメーカーで、水を使わないドライクリーニングに注力する「AOTINGBOTS(オティンボッツ)」ブランドを展開する。
『SW55 A』はモッピング、乾拭き、吸引掃除、ゴミ集めが行える4in1仕様。マイクロファイバー製のデュアルブラシを搭載しており、床材を傷つけることなく、水なしでもきれいな仕上がりを実現する。とくに静穏性に優れており、通常モードでも十分静かだが、静穏モードではほとんど音が聞こえないほど。また、ゴミ収集コンテナが大容量で、ゴミ回収などのメンテナンス負荷が少ないのも特徴だ。
今回は展示されていなかったが、より広い作業面積に対応する『SW80 A』もラインナップされている。
オカムラ/江口【3-K06】

業務用の掃除機を載せて自動で搬送を行うオカムラの『ストライバー』。エレベーター連携に強いことでお馴染みだが、今年のブースでは専用部を清掃する小型の円盤型ロボットと共用部を清掃するオカムラの『ストライバー』を総合的に運用できるシステム「ロボット総合管理ソリューション」を展示。
『ストライバー2』の本体にはライダーセンサーでカバーできない低い位置にカメラセンサー搭載する改良が施されており、回避能力がアップ。また、12月から中小企業省力化投資補助金にカタログ登録され、導入費の50%が補助される点も見逃せない。
参考出品としてテラモトと共同開発したカートを展示。『ストライバー』に連結することで牽引が可能で、貨物用のエレベーターであれば旋回も行える。カートの他にバケットタイプもあり。
くうかん【4-E16】

「iXBOT(イクスボット)」ブランドを展開するくうかんブースでは、3Dセンサーを搭載で天井の形状まで読み取ることができる乾湿両用の『SVD42-w』やコンパクトな『C3-cv』をはじめ、大小さまなざなロボットが展示されていたが、なかでも注目は『SD50』(写真左)。同社の『Scrubber50Pro』の作業面積を超える大型スクラバーロボットで、FRP素材の丈夫なボディが特徴。汚水のろ過機能を有しており、少ない水で広い面積の洗浄を可能としている。
また、参考出品として除雪ロボット『YARBO(ヤーボ)』を展示。先端のユニットを交換することで草刈りロボットとして活用することもできる。
ケルヒャー ジャパン【3-E12】

大型の床洗浄ロボットの『KIRA B 50』(左)はソフトウェアのアップデートが継続的に行われており、現在のバージョンは2.2.4に。水やバッテリーが足りなくなった場合には自動でドッキングステーションに行って補給、中断した場所から作業を再開するほか、自動でマッピングを行う「スマートフィル」では渦巻き型や往復型など現場状況に合わせたルートパターンを作成してくれるようになった。その他、本体の状態を一目で確認できるダッシュボード機能の追加など使い勝手がさらに向上している。
コンパクトなバキュームクリーナー『KIRA CV 50』(右)とともに中小企業省力化投資補助金にカタログ登録されており、導入費用の最大50%が補助される。
コーワ【3-E01】

新たにクリーンルーム対応のロボット『C30CR』(右)が登場。ロボット内部を常に陰圧状態にすることで、内部の汚染された空気の漏れを防ぎ、HEPAフィルターを通して排気するが独自構造で機密性がアップさせ徹底的に廃棄漏れを防いでいる。ブラシもクリーンルーム専用のもので、5本のブラシで高い清掃能力を誇る。ウイルスを回収することもできるので、病院の感染症対策として使用することもできる、いわば動き空気清浄機。
『C30』が乾式専用なのに対して、ドライ&ウェット作業が可能な『C40』(左)も新登場。65cmを通過可能なコンパクトボディにトリプルブラシローラー搭載で、1パスで掃き掃除と水拭き掃除を行うことができる。吸引モーターも強力で水残りの少なさにこだわった設計になっている。
蔵王産業【3-D03】

シンガポール製のLIONSBOT『R3 SCRUB PRO』と『R3 Vac』は産業用PC、ワンランク上のセンサー類を搭載する高性能ロボット(写真左)。新たに追加されたAI機能では、日々の清掃でAIがより効率の良いルートを学習し、作業時間が半減するケースも。また、一般的にマップ認識で使用されるQRコードは読み取られてしまうリスクがあるが、同社のロボットは一見すると黒い板の「マジックタグ」を使用するためセキュリティ面も優秀。頻繁なアップデートも行われており、長い期間使っても陳腐化しないことがウリと言える。
また蔵王産業のブースにはプール清掃用のロボット「BN Pro」を展示(写真右)。コードレスなだけでなく、アプリでの遠隔操作も可能となっている。
Shanghai Gaussian Automation【3-M06】

日本向けに開発された、乾湿両方の清掃が可能な高性能ロボット『Phantas』に新バージョンの『Phantas Extra』(右)が登場。ブラシの大型化で洗浄力が強化、また、ボディの正面にビジュアルモニターが追加されており、障害物、人、ゴミの認識能力が上がっている。AIがゴミを自動検出し、重点的な清掃するなどの高度な行動判断が可能になった。さらに自動給排水を行うステーションもオプションとして用意されている。
『Mira』(左)は『Phantas』よりも面積が広い商業施設や工場、物流倉庫などをターゲットにしたニューモデル。『Phantas』をそのまま大型化し、パワーを一段向上させた、高機能かつ安価なモデルになっている。
テラモト【3-Q06】

未来の清掃をテーマにブースを展開するテラモト。
従来からあったセンサー技術の活用でダストボックスを可視化するTERASBOX、トイレマネジメントを行うTERASBOXに加え、新たに清掃バッグやカートにセンサービーコンを取り付けることで位置情報を把握するTERASBEACONを展示。
自動搬送ロボット×回収ボックスでゴミ回収やバッシング作業の効率化を図るTERASCARIBO(左)やホンダが開発したハンズフリーパーソナルモビリティ『UNI-ONE』を活用した清掃の実演(右)なども行われていた。
テルウェル西日本【4-F21】

清掃ロボットともに清掃コンサルサービスを提供するテルウェル西日本。これまで1000台以上のロボットを運用してきたノウハウと、ビルクリーニング競技会2大会連続1位を獲得した実力で技術指導を行う。
マルチベンダーのロボットを取り扱うが、主力となるのはエコバックスの業務用で中型の湿式ロボット『DEEBOT M1』(右)とやや小ぶりな乾式ロボット『DEEBOT K1 VAC』(中央)。家庭用ゆずりの優れたUIに、壁際ゼロ距離清掃、10度の傾斜まで対応する点が特徴だ。
これらロボットを活用し、蓄積したデータを見える化、コスト抑制を含んだ確実な清掃DXを実現する。
パナソニック【4-F19】

広い面積を得意とし、パナソニックの掃除機開発のノウハウから高い集塵能力を誇る、中型の業務用ロボット掃除機『RULO Pro』。従来、不意な障害物やマップ変更に強いとは言えなかったがソフトウェアアップデートによりそれが解消。きっちり回避したうえで作業を完了できるようになり、各現場での導入事例によると作業完了率は軒並み90%越えをキープ。一般的な清掃ロボットの完了率は80%が目安とされているので、これは非常に高い水準だと言える。
また、小型の『RULO Biz』も自分でマッピングがしづらいという課題をアップデートで解決。スマートフォンアプリを使用することなく自動マッピングが可能になった。センサー部の円盤を3回叩けばマップモードが起動。以降円盤を1回押すごとにランプの色が変わっていき、それぞれに対応するフロアの形状や面積がプリセットされている。
Pudu Robotics Japan【3-N08】

ペットボトルや木片など、大小を問わずゴミを回収する、工場や大規模な会場向けの『MT1』は、バキューム機能が追加された『MT1 Vac』、屋外用にセンサーが強化された『MT1 Max』とラインナップが拡充(写真左)。
乾湿両方の作業が行える中型ロボット『CC1』は乾湿両方の作業が行える中型ロボット『CC1』は、AIを搭載した『CC1 Pro』が追加。AIによってゴミを認識し、必要に応じて排水量や吸引力、ブラシの回転数を変化させるほか、ハードフロアに敷かれたマットなども自動で認識するようになった。また、ブースには『CC1 Pro』『CC1』用のブラシと給排水を自動で行うステーションや移動式の給水タンクも展示されていた(写真右)。
Primech Ai【4-F17】

サービスロボット先進国であるシンガポール製のトイレ清掃ロボット『Hytron(ハイトロン)』。自立走行が可能で大便器、小便器、洗面台をスキャン、AIが学習・練習することでさまざな形状のトイレを掃除できるようになる。
擦り洗いが必要な場所はブラシで、繊細な個所には電解水スプレーによる非接触の清掃を行い、標準的な大便器なら6分、小便器なら3分程度の時間で作業完了。ロボットアームを使うことでドアの開閉、鏡のふき取り、床の拭き掃除まで可能となっている。
今回の展示会出展がファーストステップであり、反響を見て日本での販売を検討するとのこと。
「ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO2025」は11月22日(金)の17時まで開催しています。各ブースに足を運んで実機やその挙動をぜひご自身の目でお確かめください。








