地球温暖化という言葉は、今や私たちの生活の中で頻繁に耳にするものとなりました。しかし、その背後には多くの複雑な議論やデータが存在し、真実は一つではありません。
この記事では、地球温暖化に関するさまざまな意見や情報を深堀りします。
カーボンニュートラルが求められる背景
地球温暖化の進行は、現代の深刻な環境問題として注目を集めています。
この背景には、異常気象の増加や洪水、食糧や水の不足など、多くの危機的状況が関連しています。
特に、温室効果ガスの過度な排出が地球の気温上昇を引き起こしていることが知られており、二酸化炭素はその中でも最も影響の大きいガスとして知られています。
この温室効果ガスの排出は、先進国や急成長している国々によって大部分が占められています。
特に、1990年から2000年にかけての排出量は急増し、2019年までの増加傾向が続いていました。
しかし、2020年にはCOVID-19の影響でエネルギー需要が減少し、歴史的な減少を記録しました。
それにも関わらず、持続的な排出削減の取り組みは依然として必要です。
2015年のパリ協定では、気温上昇を産業革命前の水準から2℃以下、できれば1.5℃以下に抑えることが合意されました。
そして、IPCCの報告によれば、現在のままの排出量では、21世紀末には気温が3.3~5.7℃上昇すると予測されています。
このような背景から、カーボンニュートラルの取り組みが急募されているのです。
カーボンニュートラルに向けて個人ができること
エコドライブ:
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出と吸収のバランスを取り、実質的な排出をゼロにすることを指します。
この考え方の下、私たちの日常の移動においても、CO2排出量を削減する取り組みが求められています。
エコドライブは、その一つの方法として注目されている取組みです。これは、燃料消費やCO2排出を抑えるための運転技術や心構えを指します。
具体的には、穏やかなアクセル操作での発進や、無駄なアイドリングの削減、車間距離を適切に保つことでの加速・減速の最小化などが挙げられます。
また、タイヤの空気圧の適正管理や、不要な荷物の車内からの排除も燃費向上に寄与します。
さらに、近距離の移動には車を使わず、歩行や自転車の利用を心掛けることも重要です。
これは、健康的な生活を促進するとともに、環境への負荷を軽減する効果があります。
また、最近ではゼロカーボン・ドライブという考え方も浸透してきています。これは、再生可能エネルギーを利用した電気自動車や燃料電池自動車を活用し、走行時のCO2排出をゼロにする取り組みです。
このように、私たち一人一人が日常の移動においてエコドライブやスマートムーブの考え方を取り入れることで、地球温暖化の防止や環境保護に貢献することができます。
再利用・リサイクル:
プラスチックは石油から製造されるため、その製造過程で大量のCO2が排出される問題があります。
具体的には、石油の精製過程で得られるナフサを高温分解する際にCO2が発生します。
このような背景から、プラスチックの製造を減少させるためのリサイクルや再利用が求められています。
さらに、植物由来の素材を使用することで、プラスチックの消費量を削減する動きも進められています。
一方、カーボンリサイクルという取り組みも注目されています。
これは、既に排出されたCO2を再利用することを目的としており、火力発電所や都市ガス、鉄鋼業などの産業分野でのCO2排出を対象としています。
カーボンリサイクルは、燃料や化学製品、コンクリートなどの多岐にわたる分野での適用が期待されています。
日本は「2050年カーボンニュートラル」を宣言しており、温室効果ガスの排出を「実質」ゼロにすることを目指しています。
この取り組みの中で、カーボンリサイクルは非常に重要な役割を果たすと考えられています。
カーボンニュートラルとは、排出量から吸収量や除去量を差し引いた結果、ゼロにすることを意味します。
総じて、プラスチックの製造や使用に関連するCO2排出を削減するための取り組みや、カーボンリサイクルという新しい技術の導入は、地球環境の保護に向けた重要なステップとなっています。
節電・省エネ:
家庭内でのエネルギー消費を効果的に抑えるためには、照明器具やテレビ、エアコンなどの使用方法を工夫することが鍵となります。
これらの家電は、家庭での電力消費の約3割を占めるとされているため、無駄な使用を避けることが節電の第一歩です。
例えば、不要な部屋の電気を消す、テレビの不要な使用を避ける、エアコンの運転方法を見直すなど、日常の選択を意識することで、無駄な電力消費を削減することができます。
ローカルフードの消費:
地元の生産品、いわゆる「ローカルフード」を選ぶことは、カーボンニュートラルの取り組みにおいて非常に有効な手段となります。
以下に、ローカルフードを選ぶことによって起きるカーボンニュートラルへの貢献を解説します。
輸送によるCO2排出の削減:
遠方からの食品輸送は、トラックや船、飛行機などの輸送手段を使用するため、大量のCO2が排出されます。
地元で生産された食品を選ぶことで、輸送距離が短縮され、それに伴いCO2の排出量も大幅に削減されます。
新鮮な食材の利用:
地元で生産された食品は新鮮であるため、長期間の保存や加工が不要です。
これにより、保存のための冷蔵・冷凍や加工に伴うエネルギー消費とCO2排出を抑えることができます。
地域経済の活性化:
地元の生産者を支援することで、地域の経済が活性化します。これにより、地域内での循環型経済が促進され、持続可能な生産・消費が実現される可能性が高まります。
生産方法への理解と信頼:
地元の生産者と消費者が直接コミュニケーションをとることで、生産方法や取り組みに対する理解と信頼が深まります。
これにより、環境に優しい農法や持続可能な生産方法への移行が促進される可能性があります。
食文化の継承と発展
地元の特産品や伝統的な食材を使用することで、地域の食文化が継承され、新しい食の形が生まれることが期待されます。
これは、地域のアイデンティティを保つとともに、新しい価値を生み出す要因となります。
廃棄物の削減
地元の生産品は、過剰な包装やプラスチック容器を使用しない場合が多いです。これにより、廃棄物の量が減少し、廃棄物処理に伴うCO2排出も削減されます。
総じて、ローカルフードを選ぶことは、環境保護だけでなく、地域の経済や文化の継承・発展にも寄与する重要な取り組みとなります。
カーボンニュートラルの実現に向けて、私たち一人一人が日常の食選びから意識的な選択をすることが求められています。
公共交通機関の利用
車の利用は日常の移動に便利ですが、ガソリンの燃焼によりCO2が大量に排出される問題があります。
特に近場の移動には自転車や徒歩を選ぶことで、環境への負荷を軽減することが可能です。
さらに、長距離の移動においても、バスや地下鉄などの公共交通機関を活用することで、CO2の排出を効果的に削減できます。
実際、多くの自治体では、駅周辺の駐車場整備を進める「パークアンドライド」の取り組みを通じて、公共交通の利用を奨励しています。
植樹活動
木はCO2を吸収するため、植樹や森林保護の活動に参加することが推奨されます。
再生可能エネルギーの導入
太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの利用を増やすことで、化石燃料の使用を減らします。
減肉・ヴィーガン食
代替肉の普及は、環境への影響を大きく削減する可能性を秘めています。従来の肉類は、飼料の生産や輸送によるCO2排出、家畜からのメタン発生など、温室効果ガスの大きな排出源となっています。
一方、食の選択によるCO2排出の影響は、輸送機関だけでなく、日常の食生活にも密接に関わっています。
European Mobility Atlasのデータによれば、ベジタリアンの生活は年間460kgのCO2削減に寄与し、さらにビーガンとして生活することで、その削減量は年間850kgにも達するとされています。
このような食生活の選択は、健康面でも多くの利点をもたらします。ビーガンの食生活は、抗酸化物質や植物性化学物質が豊富で、病気のリスクを軽減する効果があるとされています。
最近の研究では、ビーガンのがん発生率が一般市民の半分未満であることも明らかになっており、これは健康寿命の延長や医療費の削減にも寄与するでしょう。
代替肉や植物ベースの食生活は、環境と健康の両面での利点を持つ、予測可能な未来の選択と言えるでしょう。
エコ商品の選択:
飲食店や買い物の際に持参するマイ箸やマイバッグは、環境への負荷を軽減するシンプルな方法として注目されています。
マイ箸の使用は、割り箸のごみ排出を減少させるだけでなく、木の伐採も抑えることができます。
ただし、使用後は箸と箸箱を清潔に保つために洗浄し、乾燥させることが重要です。
一方、マイバッグの持参は、レジ袋の生産や廃棄に伴うCO2排出を削減する効果があります。
最近では、多くのスーパーがマイバッグ持参の顧客に割引を提供するなど、その使用を奨励する取り組みを展開しています。
さらに、マイバッグはコンパクトに収納できるものや、保冷機能付き、肩から掛けられるデザインなど、多様なバリエーションがあり、使い勝手が向上しています。
このようなエコアイテムを日常的に活用することで、環境保護に貢献することができます。
食品ロスをなくす
買い物をする際には、冷蔵庫の在庫をチェックして、必要な量だけを購入することが大切です。
特に、食材の購入時には、ばら売りや少量パックを利用し、食べきれる分だけを選ぶよう心がけましょう。
また、コンビニやスーパーでの「手前取り」を実践することで、食品廃棄を減少させることができます。
手前の商品は賞味期限が近いため、これを選ぶことで廃棄される食品の量を削減することが期待できます。
さらに、食材を調理する際には、余らせないように工夫し、もし余った場合は、使い切りレシピを活用するなど、食材の有効活用を心がけることが重要です。
カーボンニュートラルに向けて企業が取り組めること
自社のCO2排出量を把握する
カーボンニュートラルの実現に向け、企業の第一歩は自社のエネルギー消費とCO2排出量の正確な把握です。この情報は、省エネ法や温対法の報告にも必要とされる基本データとなります。
CO2排出量を削減する
エネルギー起源のCO2排出、特に発電や運輸、家庭や産業での加熱に関連する排出を削減することが次のステップです。具体的には、電力と非電力の二つの分野でのCO2排出を別々に考慮し、それぞれの分野での削減策を検討する必要があります。
省エネルギー対策を行う
単なる節電だけでなく、具体的な省エネルギー対策として、LED照明への切り替えやインバーターの導入などが考えられます。さらに、公的機関での省エネ診断を受けることで、より効果的な対策を見つけることができます。
再生可能エネルギーを活用する
再生可能エネルギー、例えば太陽光、風力、水力などの活用は、カーボンニュートラル実現のための鍵となります。特に太陽光発電は、自家発電や再生可能エネルギー電力の購入という形で、多くの企業にとって手軽に取り入れられる方法となっています。
植林によって排出されたCO2の購入
「J-クレジット」のような制度を利用して、排出されたCO2をオフセットする方法も考えられます。この制度を利用することで、企業は自らの排出量をゼロに近づけることができるのです。
CO2の排出量の現状把握
世界の主要な国々のCO2排出量を知ることは、カーボンニュートラルの取り組みを進める上での参考となります。特に先進国は、排出量が多いため、率先して取り組む必要があります。
植林活動
植林は、CO2を吸収する植物を増やすことで、環境問題の解決に寄与します。例えば、三菱商事はマレーシアでの熱帯林再生プロジェクトを進めており、このような活動はCO2削減に大きく貢献します。
カーボンニュートラルで起きるメリット8つ
未来のための資源確保
地球上の資源は限られており、永遠に利用し続けることはできません。
特に、石油のような資源は、現在の消費ペースを維持すると、数十年以内に使い果たされる可能性が高まっています。
私たちが現在の速度で石油を使用し続けると、30年から50年のうちにその供給が絶えるとの指摘があります。
カーボンニュートラルの実践は、石油やガソリンといった主要なエネルギー源を未来の世代に残す手段となります。
この取り組みにより、化石燃料の消費が減少し、それに伴いCO2の排出も低減することが期待されるのです。
企業価値が変わる
グローバルに展開する企業は、自らのCO2排出量を削減するだけでなく、サプライヤーにも同様の取り組みを求める動きが増えています。
例として、Appleは2030年までにサプライチェーンと製品全体の二酸化炭素排出をゼロにするという公約を掲げており、これに対応するために、Appleの製品を生産する国内企業は再生可能エネルギーの導入を進めています。
また、トヨタ自動車も2021年のCO2排出量を前年比3%減少させるよう、主要な部品メーカーに要請しています。
このような要請は現時点で取引条件としては設けられていないものの、今後の取引先の選定に影響を及ぼす可能性があると見られています。
実際、「カーボンニュートラルの実態調査」の結果からも、取引先からのカーボンニュートラルへの要請に応えることが、売上や受注機会の増加、製品の競争力強化に寄与することが示唆されています。
企業イメージとカーボンニュートラル
カーボンニュートラルや省エネルギーの取り組みは、企業のイメージを大きく向上させる要因となっています。
特に、一般消費者が直接接触しない企業であっても、このような環境への取り組みを公表することで、企業の存在や価値を認識してもらえる可能性が高まります。
プレスリリースを通じての情報発信は、企業間の信頼や認知度の向上に寄与し、さらには優れた人材の採用にも繋がるでしょう。
カーボンニュートラルが生み出すコスト削減
カーボンニュートラルや省エネルギーの取り組みは、企業のイメージを大きく向上させる要因となっています。
特に、一般消費者が直接接触しない企業であっても、このような環境への取り組みを公表することで、企業の存在や価値を認識してもらえる可能性が高まります。
プレスリリースを通じての情報発信は、企業間の信頼や認知度の向上に寄与し、さらには優れた人材の採用にも繋がるでしょう。
カーボンニュートラルと従業員の意識改革
企業が環境問題に対して取り組む際、その影響力は個人よりも大きく、社会全体への効果を実感しやすいものとなります。
カーボンニュートラルへの取り組みは、再生可能エネルギーの導入や省エネ設備の活用などの具体的な施策を通じて実現されるだけでなく、従業員の意識改革や行動変容も必要不可欠です。
このような企業全体の取り組みを通じて、地球環境への貢献を実感し、それを自負することができるのです。
脱炭素社会の実現は、現代のビジネス環境において最重要の課題となっています。
特にEUでは、『欧州グリーンディール』を筆頭に、サステナビリティを重視した戦略を推進しており、多国籍の連合としての強みを活かし、イノベーションを促進するための人材交流の枠組みを築いています。
一方、日本の企業も脱炭素への取り組みを進めていますが、急激なビジネス環境の変化に対応しきれていない企業も少なくありません。
このような状況下で、真の成長を達成するためには、GX人材を社内に持つことが不可欠です。
これは、エネルギーや技術だけでなく、新しいビジネスモデルや社会の仕組みを構築する能力を持つ人材を意味します。
サーキュラーエコノミーやシェアリングエコノミーといった新しい経済の考え方を実践できる人材は、現在の社会を根本から変革する鍵となるでしょう。
優秀な人材登用にも繋がる
脱炭素経営に取り組むことは、単に環境問題の解決だけでなく、企業の持続可能性向上にも寄与します。
この取り組みは、社員のモチベーションや満足度を高める要因となり、生産性の向上の可能性も秘めています。
人は自分が誇りを持って働ける場所を求める傾向があり、脱炭素経営の姿勢はその要望に応えるものとなります。
さらに、環境問題に対する関心が高まる中、脱炭素経営は「エシカル就活」という言葉が示すように、新しい人材の獲得の魅力となります。
このような経営は、金銭的なメリットだけでなく、社員の共感や信頼を獲得し、企業の未来を明るくする要素となるでしょう。
税制と優遇制度
「GX・カーボンニュートラル投資促進税制」とは、脱炭素化に寄与する設備投資を行う企業に対して提供される税の優遇制度です。
具体的には、燃料電池のような脱炭素化効果を持つ設備を導入する企業は、最大10%の税額控除や特別償却50%の恩恵を受けることができます。
この制度は、中小企業だけでなく大企業も利用可能で、補助金との併用も許されています。
さらに、太陽光発電システムも対象設備として認められており、これを導入を検討している企業にとっては、非常に魅力的な制度といえるでしょう。
この税制を活用することで、企業は大きな経済的メリットを享受することができます。
しかし、その恩恵を受けるためには、事業適応計画の作成とその認定を受ける必要があります。
また、この税制は「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向けて創設されたもので、産業競争力強化法に基づく優遇措置が行われます。
企業がカーボンニュートラルに貢献するための事業再編や設備投資などに対して、この税制優遇が適用されるのです。
環境問題への対応は、企業の社会的責任としても重要視されています。
このような税制優遇を活用し、脱炭素化に向けた取り組みを進めることで、企業は社会的な信頼を獲得し、さらなる成長を目指すことができるでしょう。
参考資料:補助金・公的施作サービス,太陽光設置お任せ隊
資金調達でも優位に働くこともある
金融機関は、気候変動対応の取り組みを重要視し、融資先の選定基準や投資判断において、企業の脱炭素経営や地球温暖化対策の取り組み状況を評価材料として考慮しています。
特に、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の観点を取り入れたESG投資が日本でも増加しており、これに対応した経営を行う企業は、資金調達の際に有利な条件を享受する可能性が高まっています。
中小企業もこの流れを捉え、脱炭素経営に真摯に取り組むことで、投資家や金融機関からの信頼を獲得し、資金調達の優位性を築くことができるでしょう。
カーボンニュートラルを取り組まないデメリット4つ
初期コストの課題
再生可能エネルギーの導入やカーボンニュートラルを目指す取り組みは、省エネルギー対策や環境価値の購入、CO2排出の少ない製造設備の整備など、大規模な投資を必要とします。
特に日本では、再エネの市場規模がまだ小さいため、関連ビジネスの発展が遅れ、これが発電コストの高さに影響しています。
発電設備の設置や既存施設の改修・改良に伴う初期費用は非常に高く、これが主なコストとなっています。
さらに、発電事業者を取り巻く制度や仕組みの違いも価格比較を複雑にしており、これらの要因が経営の脱炭素化の障壁となっている場合も少なくありません。
検証の課題
カーボンニュートラルの実現には温室効果ガスの排出量を正確に計測することが欠かせませんが、その検証は一筋縄ではいかない課題を抱えています。
特に、サプライチェーンを通じての排出量追跡や、CO2排出基準の設定が難しいため、正確な検証が困難となる場面が多いのです。
例として、先進国がカーボンニュートラルを達成しても、開発途上国での工場排出を考慮しなければ、全体としてのCO2増加のリスクが考えられます。
さらに、国際的な合意が未だ形成されていない現状では、認証や認定制度も十分に整備されていない。
このような背景から、カーボンニュートラルは単なる国別の問題ではなく、世界全体での連携と取り組みが不可欠となっています。
カーボンニュートラルを継続するコストの課題
再生可能エネルギーの導入は、二酸化炭素の排出量削減のために不可欠ですが、日本におけるそのコストは高いという課題があります。
特に、太陽光発電や風力発電などの再エネへの移行には、初期投資として膨大な費用が必要とされます。
日本の2020年度の電力買取価格を見ると、太陽光発電は12円/kWh、風力発電は18円/kWhと、欧州などの諸外国と比べて高額です。
この高いコストの背景には、日本独特の地形や自然災害の多さ、そしてそれに伴う設備の維持や修理費用が影響しています。
さらに、日本の太陽光発電のシステム費用を欧州と比較すると、日本は約28.9万円/kWで、欧州の約15.5万円/kWと比べてほぼ2倍のコストがかかっていることがわかります。
これらの要因から、日本の再エネ市場の発展が遅れている現状が浮き彫りとなっています。しかし、再エネの普及とコスト削減を進めることで、より多くの企業や個人が再エネを導入しやすくなることを期待しています。
参考資料:sustainability-hub
カーボンニュートラルに矛盾はある?理由3つ
二酸化炭素の矛盾
カーボンニュートラルは、全体の二酸化炭素排出量をゼロにするという目指す目標ですが、この考え方は二酸化炭素の排出を一定量まで許容するとも解釈できます。
具体的には、「排出された二酸化炭素を他の方法で相殺すれば良い」という考え方が生まれる可能性があります。
例えば、バイオマス発電は再生可能エネルギーの一つとして注目されていますが、その原料となる森林や植物の伐採は、環境への影響が懸念されます。
さらに、食料や家畜の餌として利用されるトウモロコシをエネルギー源として使用することにも疑問が持たれています。
このように、単に排出量をゼロにするだけでなく、その手法が環境に優しいか、持続可能かどうかも重要です。
一方、国ごとの二酸化炭素の排出量を見ると、日本の排出量は3%に過ぎないのに対し、中国は29.5%、アメリカは14.1%という大きな差があります。
このため、日本がカーボンニュートラルを目指しても、大国の取り組みが不十分であれば、全体としての効果は限定的となる可能性があります。
気候危機や環境問題が加速する可能性
カーボンニュートラルを目指す施策には、矛盾点が存在します。
バイオマス発電が二酸化炭素排出量の削減に寄与するとされていますが、それに伴う森林伐採などの環境問題が無視されることがあります。
このような矛盾した取り組みは、地球の根本的な問題の解決を遠ざける恐れがあります。
一方、地球温暖化に関する議論は多岐にわたります。
気象科学者リチャード・リンゼン氏は、地球温暖化が進行すると激しい気象は減少するとの見解を示しています。
彼の理論によれば、温暖化により極地の気温が熱帯よりも大きく上昇するため、南北の温度勾配が緩やかになり、結果として気象が穏やかになるとされます。
さらに、氷河期の低いCO2濃度下では、植物の大量枯死や砂塵の発生が確認されており、これも南北の気温勾配の変化による気象の激化を示唆しています。
異常気象と温暖化の関係性
地球温暖化に関する議論は、多岐にわたります。
一方で、気象データや観測データの不正確さや不十分さを指摘する声が上がっており、自然現象や太陽の影響、地球の周期的な変動が原因だとの主張も存在します。
さらに、異常気象の増加や台風の強化、豪雨の頻発といった現象が地球温暖化の影響とされることに対して、これらの現象が実際には増加していないとのデータも示されています。
例えば、台風の発生数や強さは一定であり、シロクマの数は増加しているとの報告もあります。
また、サンゴ礁の島々は沈没するどころか拡大しているとも言われています。しかし、気候変動枠組条約締約国会議では、地球温暖化の原因が人間活動によるものであるとの結論が出されています。
このような複雑な背景の中で、メディアが大規模災害を地球温暖化のせいにする報道を行うこともありますが、その因果関係は必ずしも明確ではないのです。
カーボンニュートラルについてのまとめ
地球温暖化に関する議論は、専門家、研究者、そして一般の人々の間で活発に行われています。
その原因や影響、そしてその対策についての意見やデータは多岐にわたり、一概には言えない複雑な背景が存在します。
一方で、気象データの不正確さや、自然現象の影響を指摘する声もあれば、人間活動が主要な原因であるとの結論を出す専門家もいます。
さらに、異常気象や災害と地球温暖化との関連性についても、様々な意見やデータが存在します。
このような中、メディアの報道や情報の伝達方法によって、公衆の認識や意識が大きく影響を受けることが考えられます。