世界人口が80億人! 気候問題や食料危機に

世界人口が80億人! 気候問題や食料危機に

2022年11月15日に世界の人口が80億人に達したというニュースが流れました。

 

国連が公表した報告書によると、このような人口増加によって温室効果ガスの排出量が急増し、その結果によって気温が上昇し、将来的に異常気象や食料事情の悪化に見舞われるという警鐘を発しています。

 

世界人口増加の背景

世界の人口は、1950年には25億人であったのが70年代には40億人、2011年に70億人となり3倍を超える推移となっています。

 

その内訳としてはアジア圏が最も顕著であり、中国及びインドの2カ国のみで約28億人の人口であり、全体では約35%を占めていて、インドは2023年には中国を抜いて世界最多の人口となる予想となっています。

 

2058年頃には100億人を突破すると見込まれ、その後は合計特殊出生率(一人の女性が生涯に出産する子数の推計値)の低下によってほぼ横ばいとなって推移するのではといわれています。

 

イメージ

人口増加による異常気象

国連が発表した報告書によると、急激な人口増加によって化石燃料への過度の依存から、地球温暖化によって引き起こされる気候変動による異常気象など様々な環境劣化が進むと指摘しています。

 

化石燃料の使用などによる二酸化炭素(CO2)の排出量は過去半世紀に遡って倍増しており、1990年以降、日本国土の面積の11倍を超えるとされる森林が消失しました。

 

また、エジプトで開催された国連機構変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)において、南太平洋の島国ツバルのナタノ首相が

「温暖化する海が我々の土地を飲み込み始めている」

と訴え掛け、各国に対して化石燃料の廃止を求め、温暖化の影響によって小さな島国が海面上昇の危機に直面していると指摘しています。

 

海面は今世紀末に最大55cmほど上昇すると予測され、インド洋の島国モルディブでも国土の大半が水没する恐れがあるとされ、人口島への住民の移住を進めています。

 

人口増加による食料問題

将来的に人口の増加見込みのある国の多くは低所得の国々であると国連の報告書に指摘され、食料の枯渇による「飢餓」が増加する可能性を示唆しています。

 

特にアフリカにおいては、気候変動による干ばつなどによって厳しい状況に置かれていて、国連世界食糧計画(WFP)によると、1921年度アフリカ諸国を中心に約8億2800万人が飢餓状態に置かれ、特に南スーダンでは2023年には人口の3分の2にあたる780万人が命に係わる深刻な飢餓状態に直面する恐れがあるとの指摘がされています。

 

持続可能な地球環境への懸念

世界的な人口増によって食料等の消費に伴う生産拡大で、より多くの資源が必要不可欠となり、温室効果ガスの排出量は必然的に増大していくことは避けられません。

 

SDGsで叫ばれる持続可能な地球環境をどの様に実現していくのかが問われることとなります。

 

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、17の大きな目標と、達成するために具体的な169のターゲットによって構成されていて、国連加盟193ヵ国が「我々の世界を変革(Transform)する」との同意により採択されたものです。

 

その17の目標の内、

・飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進するという「2,飢餓をゼロに」

・気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急の対策を取る「13,気候変動に具体的な対策を」

が挙げられています。

 

人口増加による貧困の深刻化や紛争への火種に繋がることのないように、国際社会が連携して支援と関与が必要で、豊かな社会の実現に繋がる理解を深め、地球環境の悪化に対する喫緊の課題といえるでしょう。

 

人口減少への対応

前述したインドやアフリカ諸国での人口増に比して、主要先進国では出生率が減少し、少子高齢化に直面しており、とりわけ日本では約10年前から人口減が急速に進んでいて、世界がその対応に注目しています。

 

北欧スウェーデンでは、長期の育児休暇制度、育児休業中の収入の保証及び児童手当などによる政策によって出生率の上昇に成功し、ドイツでは、同様の保証政策や移民の受け入れによる人口の減少に一定の歯止めをかけた例があります。

 

ビルメン企業では何ができるか!

日本の人口は年々減少が続き、2053年には総人口が1億を下回ると予想が国立社会保障・人口問題研究所による発表がされています。

 

これによって日本の産業界では就業人口の減少が進んでいて、特にビルメン企業では慢性的な人手不足が深刻化しているのが現状です。

大手企業ほど人手確保に難攻しており、付随して中小の企業にも影響を及ぼしている可能性も否めません。

 

外国人労働者の受け入れ

ドイツでは移民の受け入れを積極的に行った結果、人口減少に歯止めをかける成果となったと前述しました。

 

ビルメン企業では人手不足を補う手段として、IT化、清掃機械・ロボットなどを開発して取り入れ、生産性を向上させる努力を行っていますが、所詮は人の手に委ねることが基本となっているものの、人手不足は年を追うごとに拡大傾向となっていることから、新たに人材確保の対策として一定の技能を取得させた外国人を採用して活用させるという取り組みがあります。

 

東南アジアの国々においても近年人口の増加が見られ、ベトナムでは2040年までに現在よりも50%増えると予想されています。

 

アジア圏の国々では自国よりも賃金水準の高い高所得国に労働者として出稼ぎに出る人たちが多くいるので、これら近隣の外国からの労働力を積極的に受け入れることが人手不足を補うひとつの方策になるのではと考えます。

 

〇外国人技能実習制度事業

他業種も同様ですが、ビルクリーニング業では年々清掃が必要な延床面積3,000㎡以上を有する建物は増加傾向にあり、それに付随しての清掃業務員の有効求人倍率は右肩上がりに増加しているのに関わらず高齢化が進んでの人手不足が深刻さを増しています。

 

対応策として一定の専門性及び技能を習得した在留資格と「特定技能」を有する外国人を受け入れて就業させることです。

 

ビルクリーニングの分野では特定技能1号の対象となっていますので、この技能取得をした外国人は最長で5年間ビルメン企業との雇用契約を結び、建築物の内部清掃について就業することが可能となっています。

(※ 在留資格とは、外国籍の人が日本国内に在留して一定の労働活動をするための資格のこと)

 

ビルメン企業が外国人を雇用する条件

ビルメン企業がビルクリーニング分野における「特定技能」を有する外国人を雇用するには定められた条件をクリアし、当該外国人との直接雇用(派遣雇用は認められていません)する必要があります。

 

条件1,「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録があること。

条件2,「ビルクリーニング分野特定技能競技会」の構成員であること。

条件3,ビルクリーニング分野特定技能競技会が行う調査及び指導に対する協力。

条件4,厚生労働省が行う調査及び指導に対しての強力。

 

また、「特定技能」外国人の受け入れるためには法律で定められた支援体制の構築をするか、支援内容の一切を「登録支援団体」に委託する必要があります。

 

外国人がビルクリーニング分野での特定技能の取得には

外国人がビルクリーニング分野における「特定技能」の資格を取得するには、「日本語能力水準」及び「技能水準」の両方を満たしている必要があり、下記の2つの内どちらかをクリアしていれば水準を満たしている証明となります。

 

1,「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験及び「日本語能力試験(JPLT)N4以上(国内・国外)」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)(国外)の両方の試験合格が必要。

2,ビルクリーニング職種において技能実習2号を修了したもの。

 

外国人技能実習制度事業及び技能試験の詳細については、公益社団法人「全国ビルメンテナンス協会」を参照してください。

https://www.j-bma.or.jp/qualification-training/foreigner

 

外国人技能実習制度の課題

外国人技能実習生受け入れについては昨今、日本で働く外国人技能実習生を巡って様々な問題が発生し、国際的にも強制労働にあたるとして批判の的となって、政府は11月に有識者会議を設置し、技能実習制度を抜本的に見直す方針を掲げました。

 

外国人実習制度の内実としては、長時間労働や低賃金に続き、残業代も支払われておらず、それに輪をかけてのパワハラを受けている実態が明らかとなっています。

 

また、実習生が日本に来るために母国の送り出し機関や仲介業者に多額の手数料を支払ったものが借財となっているのが現状です。

 

日本国内での働く現場で苦境に立たされている実習生たちの実情は、人手不足を補う労働力としての外国人技能実習制度の実態と、当初の目的からはかなりの隔たりが生まれています。

 

こうした事から先進国で技能を習得したいという外国人は日本には魅力を感じないという傾向に進んでおり、コロナや円高が輪をかけていて、実習生の受け入れが難しくなってきています。

 

まとめ

人口増加に伴う地球温暖化による環境の変化や食料危機問題に関しては、世界で叫ばれ始めたSDGsやサスティナビリティーによって全世界的に問題を議論して持続可能な社会を構築していかなければならないと感じます。

 

ビルメンテナンス業界においては業務内容が少なからず環境に配慮して業務に当たらなければならない環境的責任と向かい合っていかなければなりません。

RELATED

関連記事

NEWPOST

新着記事

掲載記事から探したいキーワードを入力してください。

HOTWORD

注目ワード