浴室でライムストーンを使用しているというお客様よりご相談をいただきました。下の写真をご覧ください。
ライムストーンは鉱物学的には堆積岩系の石灰岩にあたります。
「ライム」とは英語で石灰の意味で、ライムストーンは文字どおり石灰岩の代表的な石種です。
大理石や御影石に比べかなり柔らかく、独特の優しい風合いになり、最近は高級ブランドのショップなどでも幅広く使われているのを目にします。
柔らかいので吸水性が高く、水分に弱いので床面に使用するとシミ・歩行キズ・欠け等の問題が発生しやすい素材です。
そのため、メンテナンスを行う際にはライムストーンの特性を理解したうえで正しいアプローチを行う必要があります。
この浴室ではライムストーンの中でもモカクリームというポルトガルが主な産地の石灰岩が使われています。
落ち着いた風合いと黒色の筋模様が特徴ですが、やはり日々使用していくことによる劣化で表面が欠けてしまい、欠けた凹凸部分に水分が溜まってカビが発生している状況です。
色々な業者に聞いてみたそうですが、どこも対処方法が分からないということで弊社に声が掛かりました。
一般的な対処法としては気になるカビを除去するために漂白剤をつけ置きしてカビを除去する方法になると思いますが、いずれ再発することが目に見えているので、あまりお勧めできる方法ではありません。
施工方法の解説
まずは、施工後の画像をご覧ください。お客様からは、「住み始めた当初の状態に戻り、改めて天然大理石のお風呂に入っているのだと実感した」とのありがたいお言葉をいただきました。
施工方法としては、まず凹凸をフラットにしなければいけないので、ダイヤモンドパッドの選定が必要です。
今回は、マイクロポリッシュ#2を4枚ストーンマスターポリッシャーに装着し、研磨を始めました。
水を出しながら研磨を行い、素材表面がフラットになったことを確認し、マイクロポリッシュ#3 → NCAダイヤパッド#400 → NCAダイヤパッド#800 → NCAダイヤパッド#1500 → NCAダイヤパッド#3000の順番で仕上げました。
モカクリームの場合は一般的な大理石のようにピカピカにはならず、しっとりとしたツヤ感が特徴ですので、#3000程度がちょうどいいツヤ感に仕上がります。
最後に、抗菌効果のある浸透性保護剤「マイクロシーラー インナーガードプレミアム」を施工して完了です。
今回は浴槽内でしたので浸透性保護剤のみとなりましたが、土足歩行の場合は、ガラスコーティング剤の「マイクロシーラー セラミックガード」を仕上げに塗布すると効果的です。
著者
新井田康介(にいだこうすけ)
株式会社タックアンドカンパニー代表
株式会社タックアンドカンパニーは、国内初の石材メンテナンス会社として1985年に創業。
数多くの建材に使われる素材の中で、最もメンテナンスが難しいとされる石材をいかにシンプルに綺麗に維持できるかを追い求め、最適なメンテナンス商品を開発しました。
特に研磨に関しては、今まで不可能とされてきた黒御影石とセラミックタイルの完全修復を可能とした「マイクロポリッシュ」を開発。大理石フロアーの 再研磨だけでも10万㎡以上の実績があります。
株式会社タックアンドカンパニー HP
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