この場合、小分けに何度か睡眠して睡眠時間を確保する分割睡眠で対処するのも一つの方法です。
ここでは分割睡眠で真の睡眠効果が期待できるか、メリットとデメリットについてみていきます
分割睡眠のメリット
まずは分割睡眠することでどのようなメリットが期待できるか、代表的なものについていくつかピックアップしてみました。
疲労感を軽減できる、特殊な生活スタイルに対応できるなどの利点があります。
疲労感を軽減できる
分割睡眠は夜勤を担当する人にはおすすめの眠り方と言います。
夜勤の場合、昼夜逆転の不自然な生活リズムを強いられます。
本来眠っているはずの夜間に勤務しますので、疲労感や眠気もどうしても強くなります。
そこで夜勤中に仮眠をとる分割睡眠をとるのはおすすめです。
日本看護協会によると、夜勤中や夜勤明けの疲労感が軽減する、夜勤明けの昼間の睡眠時間を短縮できる効果があるそうです。
後者の場合、たとえ睡眠時間を短くしてもそれほど疲労感や眠気を感じにくいです。
日本看護協会によると、夜10時から翌朝6時までの間に2時間仮眠をとるのが理想的です。
夜勤をしている人は、この睡眠リズムを参考にするといいでしょう。
育児を無理なくできる
育児をしている親御さん、特に赤ちゃんを育てている世帯はなかなか眠れないでしょう。
赤ちゃんが夜泣きをするので夜中でもあやしつけないといけないからです。
赤ちゃんの夜泣きがひどいと夜しっかり睡眠をとるのは難しいでしょう。
そこでおすすめなのが分割睡眠です。例えば子供を寝かしつけるときに一緒に眠ります。
そして3時間後子供が泣き出したとします。
この時起きて子供をあやします。
そしてついでに家事などのタスクを3時間行います。
そしてまた子供が泣きだしたらあやして、一緒に眠り、また次に泣き出したときに起きて、また家事を済ませるといった感じです。
こうすれば、連続では眠れませんが細かく睡眠時間を確保できます。
このように特殊な生活スタイルで過ごさないといけないけれどもしっかり眠りたければ、睡眠時間を小分けして対応するのも一考です。
分割睡眠のデメリット
睡眠時間を小分けにするのは、誤った方法で行うとメリットよりもデメリットの方が大きくなるかもしれません。
分割睡眠を続けるとどのようなメリットがあるか、以下で詳しく紹介します。
死亡リスクが高まる
アロン・アビダンというカリフォルニア大学ロサンゼルス校にある睡眠障害センターの所長がいます。
彼によると、分割睡眠によるメリットを立証する研究はほとんどないとしています。
同じ7時間睡眠をとっても連続して眠っている方が、分割しているよりも疲労回復効果は高いといいます。
分割睡眠を続けると睡眠不足を招くという考え方をしています。
睡眠不足は死亡率と密接な関係があるといわれています。
北海道大学院の公衆衛生学教室では2004年に
「睡眠時間と死亡率の関係」
という研究を発表しました。
平日の平均睡眠時間が7時間だと死亡率は最も低かったといいます。
一方それよりも短いと5時間睡眠で7時間睡眠の人の1.2倍、4時間未満になると1.6倍程度その死亡リスクは上昇します。
分割睡眠が習慣化し、慢性的な睡眠不足の状態に陥ると健康面でマイナスの効果になりかねません。
脳のパフォーマンスがダウンする
分割睡眠は十分に疲労回復できないと考えられます。
慢性的な睡眠不足になると、脳のパフォーマンスがダウンする恐れがあります。
ワシントン州立大学のハンス・ファン・ドンゲン教授という人が2003年に発表した研究結果があります。
睡眠とパフォーマンスの関係に関する研究で、被験者を全く眠らない、4時間・6時間・8時間眠る4つのグループに分けて、脳のリアクションに関する研究を行いました。
6時間睡眠のパフォーマンスを見ると、2週間後には丸2日一切眠らなかったグループと同レベルにまでダウンしたそうです。
つまり理想とされる7時間睡眠からたったの1時間マイナスなだけでも、2週間もかければ脳のパフォーマンスは十分落ちてしまうわけです。
仕事などで些細なミスを連発するリスクも高まります。
まとめ
分割睡眠は夜勤をしていたり、子育てで連続睡眠できなかったりする人にとっては睡眠時間を確保するためにメリットが期待できます。
少ない時間でもこまめに睡眠時間をとることで疲労感を軽減したり、眠気を催しにくくなったりできるかもしれません。
しかしこれはあくまでも連続睡眠が取れずに慢性的な睡眠不足の状態になりそうな人のための次善の策と考えましょう。
慢性的に分割睡眠を繰り返していると脳のパフォーマンスが低下して、記憶力や集中力がダウンするかもしれません。
また死亡リスクを高める可能性もあります。きちんと眠れるのであれば、7時間前後の睡眠時間を確保できるような生活習慣に改善しましょう。