ビジネスシーンでは避けることのできない電話応対。
社会人として世間に出れば、関わる人たちの年齢層も幅広くなり、言葉遣いにも十分注意しなければなりません。
電話は相手の顔が見えない分、正しい敬語の使い方や相槌の打ち方で相手に与える印象が大きく変わります。
「聞き取れなかったらどうしよう…」
「分からないことを言われたらなんて返したらいいのだろう…」
「相手を怒らせてしまったらどうしよう…」
漠然と電話応対に対する不安は誰もが経験したことがあると思います。
初めから完璧にできる人はほとんどいませんし、やはり経験も必要です。
しかし、事前に準備して様々なケースを想定した受け答えを練習しておくことで自分の心にも余裕ができ、冷静に物事を聞き取り判断することができるはずです。
不安な気持ちを跳ねのけ、明るい電話応対ができるように一緒に準備していきましょう!
1-1.会社の代表として対応する
電話はお互いの顔が見えない分、話し方や声のトーンが大切なポイントです。
電話をかけてくる相手は、電話に出た人が新入社員か派遣スタッフかなどは全く関係なく会社の一員として見られます。
『電話応対の印象=会社全体の印象』であり、何かあっても新入社員だから少々のことは見逃してくれるだろう…という甘い気持ちは厳禁です。
誰に対しも失礼がないように心がけ、明るくハキハキと応対するように意識しましょう。
1-2.正しい敬称・敬語を使う
会社の代表として電話に出るからには、敬称や敬語を正しく使いこなすことも大切です。
お互いの顔が見えない分、不適切な使い方は印象を悪くしてしまい、相手に不快な思いをさせてしまします。
そこで!つい使いがちな言葉と、正しい敬称や敬語をいくつか紹介します。
◆敬称 ・自分⇒わたくし ・相手⇒○○様 ・相手の会社⇒御社 ・自分の会社⇒当社
◆尊敬語 ・言う⇒おっしゃる ・教えてほしい⇒お教えください ご教示ください ・来る⇒お越しになる/いらっしゃる ・知っている⇒知っていらっしゃる ご存じ ・見る⇒ご覧になる
◆謙譲語 ・言う⇒申す/申し上げる ・知っている⇒存じ上げております ・すみません⇒申し訳ございません ・どうしますか⇒いかがなさいます か ・わかりました⇒承知しました ・わかりません⇒わかりかねます
1-3.電話越しでも笑顔を忘れずに
相手の顔が見えないからこそ、姿勢を正し、笑顔で声のトーンを意識して電話応対しましょう。 言葉に抑揚がないと、ロボットみたいで相手に悪い印象を与えてしまいます。
1-4.相手の声がよく聞こえない場合の対応
電波が悪いことや、相手の声が小さくて聞こえづらいというケースもあると思います。
そんな時は、「恐れ入ります。少しお電話が遠いようですので、もう一度お願い致します。」ときちんと伝えましょう。
1-5.聞き取れなかった場合の対応
1-4.と同様に、相手の声や内容が聞き取りにくかった場合は、うやむやにせずきちんと確認しましょう。
聞き返すことより、社名や名前を間違えることの方が失礼にあたります。
1-6.メモをとる
必ず手元にメモを準備しておきましょう。
基本的には以下の内容を書くようにしましょう。
◆電話を受けた日付・時間
◆相手の会社名(部署名)
◆相手の名前
◆相手の連絡先
◆伝言内容
◆折り返しの電話が必要かどうか
◆電話応対者の名前
日時や電話番号、数量、金額など具体的な数字は間違えるとトラブルに繋がりやすい要注意事項です。
必ず復唱して聞き取りした内容に間違いがないかを確認しましょう。
2.電話を受ける時のマナーについて解説
2-1.電話は3コール以内にとり、メモを手元に準備する
電話がかかってきたら、一般的には3コール目が鳴り終わる前に受話器を取るケースが多いです。
ただし、会社によってルールやマニュアルがあるため、事前に確認することをおすすめします。
もしも電話が取れず相手をまたせてしまった場合は、
「お待たせいたしました。○○会社の○○でございます。」
のように、名乗る前に一言付け加えましょう。
2-2.相手の社名・名前を復唱しメモをとる
相手の会社名と名前、用件は必ずメモを取るようにしましょう。 確認のために復唱することもポイントです。
例えば、
「○○会社の○○様ですね。いつもお世話になっております。」
のように復唱すれば印象も良く確認もできます。
2-3.電話を担当者に取り次ぐ場合
電話を取り次ぐ際は、すぐ近くの人へ繋ぐ場合でも保留にするのが基本です。
また、社内で確認したり相談したりする場合も必ず保留にしてから話すようにしましょう。
保留が長く続いて相手を待たせてしまいそうな場合は一度電話に出て状況を伝えましょう。
◆保留が長引きそうな場合
「お待たせして申し訳ございません。○○のためもう少しお待ちいただけますでしょうか。」
「お待たせして申し訳ございません。お調べするのに時間がかかりますので折り返しさせていただいてもよろしいでしょうか。」
と問いかけることで相手の都合を伺い次へと繋げることができます。
◆担当者が不在の場合
担当者不在の旨を伝えた上で先方の意向を確認しましょう。
「申し訳ございません。○○は外出しており、本日は戻らない予定です。明日出社次第、○○からお電話するように致します。よろしいでしょうか。」
「わたくしでよろしければ代わりにご用件お伺い致します。いかがでしょうか。」
緊急で担当者の番号を教えてほしいと求められた時は、基本的には社内の個人情報を無断で開示するのはNGなので、
「社内で確認をしてから折り返しお電話致します。」「担当者に連絡をして折り返しさせます。」
と答えるようにしましょう。
2-4.電話を切る前の内容確認
用件を再度確認し、メモに漏れがないか 確認しましょう。
2-5.電話は静かに切る
電話を切る際は、受話器を優しく置くようにしましょう。 受話器を乱暴に置くと、ガチャッという音が相手にとって耳障りに感じることもあります。
フックスイッチを指で押しながら受話器を置くと静かに電話を切ることができます。
3.電話をかける時のマナーについて解説
3-1.電話をかける下準備をする
漏れなくスムーズに用件が伝えられるよう、話す内容をあらかじめメモしておきましょう。
3-2.電話が繋がった場合
「いつもお世話になっております。○○様はいらっしゃいますでしょうか。」のよに、まずは自分の会社名と名前を名乗りましょう。
3-3.相手が電話に出たとき/不在のとき
話したい相手が電話に出たら、もう一度名乗ってから用件を話し始めるようにしましょう。
また不在の場合は、帰社時間を確認して改めて電話する旨を伝えましょう。
簡単な要件であれば伝言をお願いするなど臨機応変な対応を心がけましょう。
「お戻りは何時頃でしょうか。それではこちらから改めてご連絡差し上げます。」
「○○様に○○会社○○から電話があったことをお伝えください。」
念のため、電話に出てくれた方の名前を確認しておくと安心です。
4.電話応対が上手くいくコツ
4-1.クッション言葉を使う
『クッション言葉』とは、ストレートに言うときつく伝わりがちなお願いやお断りの際、本題の前に言い添える言葉のことです。
その言葉の衝撃を柔らかくしてくれるまさにクッションのような働きをします。
このクッション言葉を使えば相手への配慮にもなり、また自分の心への負担も軽くなります。
電話応対の際も以下のようなクッション言葉を添えて、気持ちの良い電話応対を心がけましょう。
◆何かを尋ねる場合 ・差し支えなければ/失礼ですが
◆お願いする場合 ・恐れ入りますが/お手数おかけします が/お忙しいところ申し訳ありません が
◆断る場合 ・あいにく○○ですが/ご意向に添えず 申し訳ありませんが また、こちらに非があり相手が怒って話をしている場合は、自分の意見を伝えるなど話を遮るのは得策ではありません。
まずは相手に落ち着いてもらうために相手の主張を聞きましょう。
その際に、以下の言葉を使うと良いでしょう。
◆相手に落ち着いてほしい場合
「おっしゃる通りです。」
「さようでございましたか。」
「○○ということですね。変申し訳ございません。」
4-2.同僚や友人とシミュレーションする
自信をもって電話応対ができるようになるためには、電話で話す経験を地道に積み重ねていくしかありません。
具体的な練習方法としては以下の通りです。
◆ロールプレイング
電話をかける側、受ける側の役を演じ るロールプレイングは、現実に起こり うる場面を想定して適切に対応する効 果的な話し方や言葉遣い、表現方法を 学べます。
録音してセルフチェックとフィード バックを実施することで、スムーズな 電話応対のためのスキルを身につけら れるはずです。
◆社内研修
これまで学生であった新入社員が社会人として仕事をしていくためには、ビジネスマナーが必要不可欠です。
特に電話応対は、新入社員研修の中で重要な項目のひとつとして位置づけられています。
会社の代表として電話を取るわけですから、電話応対の基本ルールから、実際の応対方法まで学びます。
◆OJT OJTとは職場で実務をさせることで行う従業員の職業教育のことです。
低コストですぐに研修を行えます。
その会社に適した電話応対を承継できる点もポイントです。 教
育しながら自分の電話応対方法を再確認できるため、指導する側と指導される側の双方が成長できる相乗効果をもたらします。
◆Web研修
職場でも自宅でも場所を選ばず受講ができるWeb研修は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による密を防ぐ目的などで関心が高まっているスタイルです。
自分の都合が良い時間帯にサイトへアクセスし研修を受けられるため大変便利です。
また、確認したい部分を繰り返し見直しができ、習熟度が増す点もポイントです。
5.シチュエーション別電話応対【例文付き】
5-1.内線
【設定】△△課の△△課長に打ち合わせの件で電話するも不在のため伝言を依頼する。
かける側:ダイヤルする 受ける側:お疲れ様です。
○○課の○○です。
かける側:お疲れ様です。△△課長お願いしま す。 受ける側:△△課長は只今外出中で帰社が〇時 です。
かける側:わかりました。
では、伝言をお願い してもよろしいでしょうか?
※あくまでも同じ会社内の人間なので、変にかしこまり過ぎると違和感が生まれるので注意してください。
5-2.外線
【設定】□□課長へ△△会社の△△様より電話があり取り次ぎを行う。
かける側:ダイヤルする
受ける側:お電話ありがとうございます。○○会 社の○○でございます。
かける側:お世話になります。△△会社の△△ と申します。
受ける側:△△会社の△△様でいらっしゃいま すね。いつもお世話になっておりま す。
かける側:こちらこそ、お世話になっておりま す。恐れ入りますが、□□様はいらっ しゃいますでしょうか?
受ける側:□□でございますね。只今お取り次ぎ 致しますので少々お待ちいただけま すでしょうか? (相手の返答があった後、保留にする)
6.電話応対が“できる人”になることで会社から
必要とされる/イメージアップに繋がる
失礼がない程度に卒なくこなす人もいますが、会社の代表として電話に出るわけですから、好印象を持ってもらえるような電話応対を心がけることで、相手の心を掴むことができ、さらに自分自身の成長にも繋がります。
たかが電話で…と思う方もいると思いますが、そのたかが電話で取引が始まる可能性もありますし、応対が不愛想で取引解消になる可能性もあります。
会社で必要とされる“できる人”に近づくために、小さなことから積み重ねていき日々精進していきましょう!
7.まとめ
社会人となり、職場での電話応対に負担を感じている人もいるかと思います。
特に社外の電話は緊張もあり、上手く応対できないこともあると思います。
何事も経験が大切なので、基本をしっかり身につけましょう。 積極的に電話応対に取り組む姿は、周りから見ても好印象で、何かあれば必ず助けてくれるはずです。
気負いせず、積極的に電話応対していきましょう!
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