2025年秋に開催予定の「わたSHIGA輝く 国スポ・障スポ」に向けて事業開発された滋賀ダイハツアリーナは滋賀県最大の室内競技施設です。
今回は館内清掃に採用されたパナソニックの業務用ロボット掃除機『RULO Pro』の活躍ぶりと導入までの経緯について、支配人である和氣家 督さんに話を聞きました。
導入のきっかけと決め手
3つの大学をはじめ、文化、芸術、医療、福祉、教育、研究、レクリエーション等の多様な施設が集積する琵琶湖文化公園エリアに位置する滋賀ダイハツアリーナ。
館内には5000人収納のメインアリーナをはじめトレーニングに最適なサブアリーナやトレーニングルーム、多目的ホールを有しており、Bリーグの滋賀レイクスやVリーグの東レ・アローズがホームアリーナとしているほか、大相撲の興行やボクシングの世界戦など多くのスポーツイベントも開催されています。
また、Webのほか様々な予約方法が用意されており、当日空があれば誰でも利用できるスポーツ交流拠点です。
県立体育館ではありますが、PFI(公共事業に民間の資金とノウハウを活用する手法のひとつ)によって、清掃を含む維持管理・運営をミズノグループが維持管理企業と共同で担当しています。
『RULO Pro』導入のきっかけは本部の管理部門からの紹介であったと支配人の和氣家さんは語ります。
「清掃面積が広く、バリアフリー設計でフラットな場所が多いため、清掃ロボットによってコスト削減、業務効率化の効果が出やすいのではという提案がありました」
当時、他社の清掃ロボットのデモを行っていたのですが、あまりゴミを吸ってくれず、その結果は芳しいものではありませんでした。とはいえ清掃スタッフの出勤時間は7時と早く、人員の確保も難しかったため、まずは『RULO Pro』のテストを行うことになりました。
「館内はホコリのほか、周囲に緑が多く虫が入ってきます。2階には森のテラスという庭園があるのですが、そこの芝も入ってくるんです。『RULO Pro』はそれらをしっかりと回収してくれました。
また、スタート位置にもっていってボタンを押すだけと簡単なのもよかったですね。暗い場所でも動作してくれるので夜セットしておくだけで朝までに自動的に清掃してくれ、きれいになったと実感できる仕上がりでした」
一般的に清掃ロボットは事前に作成したマップ内の今どこを作業しているのかをレーザーセンサーによって認識しています。レーザーが届く範囲に何もないと自己位置を見失ってしまうため、実は大空間を得意としていません。自己位置を見失って迷子になってしまうと、作業の途中で止まったり、本来入ってはいけないエリアを清掃したりと業務に支障が出てしまいます。
清掃場所が広大な場合、ポールや敷居といった目安を設置することで解決できますが、毎回一度決めた位置に正確に設置しなければならず、清掃作業後にはそれらを片付けなければならないのは面倒です。
『RULO Pro』は25m以上距離があっても検知可能な長距離レーザーセンサーを搭載しており、約2900㎡(バスケットコート3面分)の広さがあるメインアリーナであっても自己位置を見失うことなく、清掃作業を完遂できます。これは他の清掃ロボットにない大きな特長と言えます。
「人件費、業務委託費の削減はもちろんですが、最先端の技術を使ってDX化した清掃を行っていることを利用者様や行政にアピールする効果もあると考えました。今後水平展開していくにあたり、一番に滋賀ダイハツアリーナへ取り入れたいという気持ちもあって導入を決めました」
導入までの流れと必要な準備
『RULO Pro』の導入プロセスはスムーズに進んだと和氣家さんは言います。
「12月の会議で決裁をもらい、3月に搬入、実際に動き出したのは4月からだったと記憶しています。3月の搬入までの期間に行ったのは図面の提供とロボットで清掃したい場所を伝えたくらいでしょうか。あとはパナソニックのサービスマンがマッピングを含めすべて準備してくれました」
パナソニックのサービスマンは現場の意見を聞き、実際の清掃作業に合わせて運用の精度を高めていきました。現場への訪問回数が5回目を数えるころには、当初予定されていなかったサブアリーナまで『RULO Pro』で清掃できるようになったそうです。
また、現場への定着もスムーズだったと言います。
「スタート位置を示した写真入りのオリジナルマニュアルをご用意いただきました。集合研修も行いましたが、そもそもの使い方が簡単なのでOJTが難しかったということはないですね。清掃スタッフは計6~7人いて、20~70歳代と年齢層もバラバラですが皆、問題なく使えています」
現在では、いちごちゃん、ぶどうちゃんとスタッフが自ら名前をかけて可愛がっており、今後はステッカーやラッピングも予定されています。
実際にどのように使っているのか
平日3名、土日4名体制で、人の手で行われる各諸室、トイレ、更衣室の清掃と並行して、『RULO Pro』は1階、2階とも広いスペースを構えるエントランス、広大なメインアリーナとサブアリーナ、外周260mあるランニングコースの床清掃で使用されています。
「導入前、メインアリーナであれば3人がかりで1時間ほどかけてモップ掛けを行っていました。現在はスタッフが帰る前に『RULO Pro』2台を所定のスタート位置に運び、スタートボタンを押して閉館します。夜間、自動的に清掃をしてスタート位置に戻ってきているので、それを朝来たスタッフが1台をエントランスのスタート位置に持っていき、バッテリーを交換してスタートボタンを押すというのが日常の流れになっています。サブアリーナの使用がない場合はもう1台をサブアリーナの清掃に回します」
また、メンテナンス性も非常に優秀とのこと。バッテリーは電気自転車にも使われているもので、なじみがあって交換がスムーズ。おかしなものを吸い込んでいないか毎日メンテナンスハッチを開けてダストボックスを確認しますが、ダストパックの交換は週1~2回行う程度で、それ以外のブラシなどはほぼ手つかずで運用できています。
導入のメリットと今後について
導入効果としては清掃スタッフ-1名、約8時間の削減が実現できたとのこと。床面を『RULO Pro』が清掃している間にスタッフは他の業務が行えるため生産性も向上しました。
「これまで手が回らなかった窓拭きや、トレーニングルームもきれいに保つことができるようになりました」と述べる和氣家さん。日中はエントランス、ランニングコースなど来場者がいる中で動作させていますが、とくにトラブルなどは発生していないとのこと。
清掃した箇所がすぐに汚されてしまうこともありますが常時『RULO Pro』を動かすことで、館内の清潔度が上がり、また最新のロボット使っているというパフォーマンスの役割も十分に果たしていると言います。
さらに清掃作業の完了率にも満足しているのだとか。
「スタート位置への帰還率、つまり作業完了率は90%以上でしょうか。一度2階エントランスの自動扉から外に脱走してしまったことがありました。すぐに戻ってきたのでトラブルにはなりませんでしたが、パナソニック側に相談したところ即サービスマンに来ていただけました。自動扉のセンサーと干渉があったのか等、原因究明中ですが再発はしていません」
作業完了後の仕上がり、そして『RULO Pro』の導入自体に満足しており「楽をさせてもらっている」と笑顔の和氣家さん。ミズノが滋賀ダイハツアリーナを維持管理する契約期間はあと14年。「14年後も今と変わらないきれいさを維持していきたい」と熱く語ります。
ミズノは全国で180を超える施設を管理しており、今回『RULO Pro』の効果的な運用で実現したコスト削減と美観維持は水平展開され、多くの施設に大きな影響を与えていくことでしょう。
■導入現場紹介
滋賀ダイハツアリーナ
フロア面積2900㎡、5000名収容は共に県下最大。プロスポーツの観戦の他、リーズナブルに利用できる最新マシンを完備したトレーニングルームや体力測定室もあり、利用者の健康づくりをサポートするスポーツの交流拠点です。館内サインは信楽焼、外壁には琵琶湖のさざ波をイメージしたデザインが施されるなど滋賀ならではの意匠も凝らされています。
・住所 〒520-2164 滋賀県大津市上田上中野町779番地
・URL https://shiga-arena.jp/
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