外国人技能実習生は原則として3年契約での受け入れとなります。3年間あると、大なり小なり問題が発生するものです。
今回は、他のサイトにはあまり書かれていない、実習生の受け入れに関する具体的なトラブル事例を複数ご紹介します。
受入れ前にぜひご一読いただき、自社での実習生受け入れの際のトラブル削減につなげてもらえればと思います。
受入れ前
寮の準備
実習生が生活する寮は、受入企業が賃貸契約を結ぶなどして準備することになっています。また、家電や日用品も実習生が入寮するまでに揃えておく必要があります。
このように用意した家電などは、入寮日に実習生や監理団体の職員と一緒に開封していくというのが通例ですが、このときに「アレがない! コレがない!」というトラブルが起きがちです。これまでにあった事例としては、コンロは買ったがガスホースの購入を忘れていたというものや、物干し竿の買い忘れなどがありました。
また、入寮日にWi-Fi環境が整っていないということもあります。実習生は日本では携帯電話回線の契約はせず、寮で提供されるWi-Fiだけを頼りにしているので、寮に入ってからWi-Fiが使えないと大きな問題になります。
日用品に不足があってもすぐに用意できますが、実習生のライフラインであるWi-Fiだけは必ず入寮日から使えるように準備しておいてください。
受入れ中
日本語が通じない
実習生は来日前に5カ月程度日本語を勉強してきますが、やはりそれだけでは日本人と同じように日本語で仕事をするのは困難です。特に入社直後は、日本語で指示しても通じないということがしばしばあります。
そうは言っても、仕事で使う機械や道具の名前などは知ってもらわないと話になりません。
実習生の受け入れ企業の中には、仕事で使う機械・道具の一覧表をEXCELなどで作り、5カ月間の勉強中に暗記するよう指示するところがあります。一覧表の作成の手間はかかりますが、この方法はかなり有効です。
また、実習生の中には入社後も積極的に日本語を勉強する人もいますが、そうでない実習生のほうが大半です。入社後も日本語の勉強を続けてもらうよう、採用内定時に、例えば日本語検定を年2回受験することなどを約束してもらうことも方法の一つです。
指示したとおりに作業しない
これも実習生に多い問題です。例えば機械操作で「両手で押さえなさい」と指示しても、しばらくすると片手で押さえるようになり、「別にこれでもできてますよ」などと主張する実習生がいます。
他にも、高所作業で安全帯の使い方が徐々におざなりになってくる実習生も多いようです。
このような問題が起きる原因の一つとして、一部の実習生が非常に自信家であるということが言えます。
入社直後で大した経験もないにもかかわらず、「自分は十分に仕事をこなしている」と思い込みがちです。
対策としては、とにかくその都度指導することと、その指示の理由も説明することです。
例えば「品質が下がるので、両手で押さえなさい」というように説明すると、指示に従うようになる実習生もいます。
また、監理団体と協力して実習生の指導にあたるのも効果的です。特に監理団体の母国語スタッフから指導してもらうと、改善する可能性が高まります。
金銭トラブル
実習生は、同僚の実習生との間でお金の貸し借りをかなり気軽に行います。それも、通帳やキャッシュカードを直接渡し、暗証番号も教えるということも日常茶飯事です。
監理団体も入国前や入社後に「暗証番号は他人に教えてはならない」ということは指導しますが、お金や通帳の貸し借りを抑止することは困難です。
ある実習生が同僚の実習生にいつものように通帳ごとお金を貸したところ、通帳を借りた実習生が勝手に1万円多く引き出して、密かに盗み取る問題がありました。
この手のトラブルを完全に防ぐのは非常に難しいのですが、実習生はそういうことをするものだと知っておいてください。
受入れ終了時
大量に残った有給休暇
実習生も有給休暇の付与対象です。入社から半年を経過して所定の要件を満たしている場合は、日本人従業員と同様に有給休暇を与えなければなりません。
ここで問題になるのが、帰国間際の有給休暇です。実習生は3年で一旦契約が切れますので、帰国や転職の場合には3年満了時に有給休暇を全消化することになります。
計画的に休みを取っていれば問題はないのですが、有給消化が少なく20日以上残っているようなことになりかねません。
3年満了時を見据えてまんべんなく有給休暇を取得させると、最後に慌てなくて済むでしょう。
なお、会社によっては有給休暇を取得しない代わりに金銭を支払う、いわゆる「買い取り」を行っているところもあるよう
ですが、買い取りは法律で禁止されています。
さらなるトラブルを防ぐためにも実習生には有給休暇を取得させましょう。
まとめ
ここまで、実習生受入れの際に注意すべきトラブル事例を5つご紹介しました。外国人材の受け入れということで、日本人を採用したときとはまったく違った問題が起きることがあります。
本記事を参考に、実習生受け入れ時のトラブルを未然に防いでいただければ幸いです。
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