DX事例

旭化成のデジタルトランスフォーメーション:ビジョンと進行中の取り組み

旭化成のデジタルトランスフォーメーション:ビジョンと進行中の取り組み

化学製品を中心に幅広い事業を展開する旭化成は、近年デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に注力しています。

 

DXを進めることで、新たなビジネスチャンスを創出し、企業の競争力を強化するとともに、社会全体の持続可能性に貢献するというビジョンを掲げています。

 

その具体的な取り組みとしては、デジタル人材の育成、組織改革、多様性の活用、新たな開発手法の導入、そしてサステナブルな社会を創出する新たなプロジェクトなど、多岐にわたる活動が進行中です。

 

これらの取り組みは、旭化成がデジタルの力を活用して業界の枠組みを超え、より大きな価値創造を目指している証拠であります。

 

デジタル専門人材の育成

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データサイエンスとデータ分析人材の育成

旭化成はデータサイエンスとデータ分析の専門人材を育成するための重要な取り組みを行っています。

この分野で必要とされるスキルは急速に進化し、我々が抱えるビジネスの問題解決に直結しています。

 

そこで旭化成では、社員がデータを活用した意思決定を行うことを支援するための研修プログラムを開始しました。

 

このプログラムは、統計学、データマイニング、機械学習など、データサイエンスの基本的なスキルを学びながら、具体的なビジネス課題を解決するための実践的なプロジェクトを行います。

 

メンター制度と現場の課題解決

新しく学んだ知識やスキルを実際の仕事に活かすためには、実践的な経験が不可欠です。

そのため、旭化成では、メンター制度を導入しています。

 

経験豊富なデータサイエンティストが、若手のデータアナリストの成長を支援します。

これにより、現場の課題解決を通じて、学んだスキルを即座に活用し、その結果を自身の成長につなげることが可能になります。

 

共通プラットフォームの開発と提供

各部署や事業所でデータを個別に管理・分析するのではなく、全社共通のプラットフォームを通じてデータを一元管理・分析することで、効率化を図ります。

 

さらに、このプラットフォームを通じてデータにアクセスできることで、各部署が自由にデータを活用することが可能になります。

これにより、データの利活用が促進され、新たなビジネスチャンスの発見や問題解決が加速します。

 

DXを加速するための組織改編

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デジタル共創本部の設立

旭化成は、デジタル化を組織全体で推進するために、デジタル共創本部を設立しました。

この本部では、デジタル化のビジョンと戦略を策定し、全社のデジタル化を牽引します。

 

具体的には、各事業部のデジタル化のニーズを集約し、それらを具現化するためのプロジェクトを推進するとともに、デジタル化に関する教育や研修を提供する役割も担っています。

 

既存組織の統合と新部署の設立

デジタル共創本部の設立に伴い、旭化成は既存の組織を統合し、新たな部署を設立しました。

これにより、デジタル化の取り組みを組織全体で一元的に進めることが可能になりました。

 

新部署は、データの収集・管理、AIの活用、システムの開発・運用など、デジタル化に不可欠な機能を一手に担います。

 

旭化成の各部署がそれぞれにデジタル化を進めるのではなく、一元的に推進することで、効率化とスピード感を持ってデジタル化を進めています。

 

営業やマーケティングのDX推進

旭化成は、営業やマーケティングの分野でもDXを推進しています。

データ分析やAIの活用により、顧客のニーズを的確に把握し、より効果的な営業活動やマーケティング戦略を展開しています。

 

具体的には、過去の営業データや市場データを活用し、顧客の購買傾向やニーズを予測するなど、より精度の高い営業活動を行うことが可能になっています。

 

これらの取り組みは、旭化成のビジネス成果を向上させ、顧客満足度の向上につながっています。

 

多様性を活用したデジタル人材育成

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多様性の活用とビジネスモデルの変革

旭化成では、多様性を活かしたデジタル人材育成を推進しています。年齢、性別、職種、専門分野など、さまざまな背景を持つ人材がデジタル化に関する知識とスキルを習得し、それをビジネスに活かすことで新たな価値を創造しています。
多様な視点と知識を持つ人材が集まることで、従来の枠組みにとらわれない新たなビジネスモデルやサービスの提案が可能になり、企業の成長と変革を実現しています。

デジタル認証のオープンバッジの採用

デジタルスキルの証明として、オープンバッジを採用しています。
オープンバッジは、学習者が特定のスキルや知識を習得したことを証明するデジタル認証の一種です。
旭化成の教育プログラムを修了した社員は、オープンバッジを取得することができ、そのバッジを通じて自身のデジタルスキルを証明することが可能になります。
これにより、社内外での人材の評価や活躍の場が広がります。

段階的なデジタル技術習得と公開予定の教材

旭化成では、段階的なデジタル技術習得を推進しています。
初級から上級まで、それぞれのレベルに応じた教材を提供し、社員一人ひとりが自分のペースで学習を進めることができます。
また、これらの教材は社外にも公開する予定であり、社会全体のデジタル人材育成にも貢献します。
これらの取り組みを通じて、旭化成は持続的な成長と社会貢献を両立させるデジタル化の推進を進めています。

デジタル創造期

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「デザイン思考」と「アジャイル開発」の推進

旭化成では、「デザイン思考」と「アジャイル開発」の手法を推進しています。

 

「デザイン思考」はユーザー中心の問題解決の手法で、実際の利用者の視点から考えることで、より利用者にとって価値のある解決策を生み出すことができます。

 

「アジャイル開発」は、短期間で反復的に開発を行い、都度フィードバックを取り入れながら改善を繰り返す手法です。

これにより、市場の変化に素早く対応し、より良い製品やサービスを提供することが可能になります。

 

「AKガレージ手法」の導入

旭化成では、デザイン思考とアジャイル開発の手法を組み合わせた「AKガレージ手法」を導入しています。

これは、アイデアの発想からプロトタイピング、検証、改善までを一貫して行う手法で、よりユーザーに対する価値提供を迅速に行うことが可能です。

 

具体的には、問題解決のためのアイデアを社員全員で出し合い、そのアイデアをもとにプロトタイプを作成。

その後、実際のユーザーのフィードバックを取り入れながら製品やサービスを改善していきます。

 

共創戦略推進部の設立と共創の場「CoCo-CAFE」

旭化成は、企業内外の様々なステークホルダーと共創するための新部署「共創戦略推進部」を設立しました。

 

この部署では、企業内外の人々が集まり、新たなアイデアを出し合ったり、異なる視点を交換したりする「CoCo-CAFE」を運営しています。

 

この場を通じて、様々な背景を持つ人々が互いの視点を共有し、新たな価値創造のためのアイデアを生み出しています。

 

2022年度以降の取り組みテーマ

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資源循環プロジェクト「Blue Plastics」の実証実験開始

旭化成は、プラスチックのリサイクルによる環境負荷の軽減を目指し、「Blue Plastics」プロジェクトを開始しました。

このプロジェクトでは、業界を超えた資源循環を目指し、再生プラスチックの流れを管理・可視化する技術を開発しています。

 

2022年度には、この技術を活用した実証実験を開始し、社会実装に向けた検証を行っています。

 

ブロックチェーン技術の活用と消費者意識の検証

「Blue Plastics」プロジェクトでは、再生プラスチックの流れを管理・可視化するために、ブロックチェーン技術を活用しています。

 

ブロックチェーン技術を利用することで、リサイクルプロセスを透明化し、消費者が安心してリサイクルプラスチック製品を選びやすくなると期待されています。

 

さらに、この技術を活用して消費者のリサイクルに対する意識と行動の変化も調査・分析し、サステナブルな社会の実現に寄与する情報を提供しています。

 

カーボンフットプリント(CFP)算定システム化の推進

旭化成は、製品のライフサイクル全体で排出されるCO2の量(カーボンフットプリント:CFP)を算出し、その情報を公開することで、消費者が環境に配慮した製品選択を可能にするための取り組みを進めています。

 

まずはマテリアル領域の主要製品を中心にCFP算定を進め、サプライチェーンの脱炭素化に向けた取り組みを推進しています。

2023年度には、全社標準のCFP算定システムを構築し、排出量の可視化により得られた情報を戦略策定に活かす予定です。

 

まとめ

旭化成はデジタルの力を用いて、サステナブルで繁栄する社会の創出を目指しています。

 

デジタル人材の育成、DXの推進、多様性の活用、デザイン思考とアジャイル開発の推進、そして未来を見据えた新たな取り組みテーマとして、資源循環プロジェクト「Blue Plastics」やカーボンフットプリント(CFP)算定システム化の推進など、多岐にわたる施策を展開しています。

 

これらの取り組みを通じて、旭化成はデジタルの力で社会に対する影響力を最大化し、持続可能な未来を創造していきます。

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