では、この項目の主題としての「施設管理」と「設備管理」はどの様な役割で違いはどのようなものかを説明してみます。
■施設管理業務とは
施設管理業務には、環境衛生管理、清掃、設備管理、修繕、保安警備などハード面の業務をおもに行う「ビルマネジメント:通称BM」と、
施設の賃貸契約管理、テナント料の徴収、クレーム対応などソフト面が主な「プロパティマネジメント:通称PM」、
施設の経営や運営面などのアドバイスや改善点などに関してのコンサルタント的な役割を行う「アセットマネジメント:通称AM」とがあります。
〇ビルマネジメント(BM)
ビルマネジメントは、テナントビルや商業施設の所有者(オーナー)からの契約依頼によって施設の設備機器などの維持保全管理、衛生的環境を守る清掃業務管理、施設を利用する人たちの安心安全を確保するための保安警備や防災に関する監視を請け負う業務体系を指します。
〇プロパティーマネジメント(PM)
プロパティーマネジメントの“プロパティー”とは、「属性」とか「特性」と訳されますが、財産、資産、所有物の意味もあります。
プロパティーマネジメントとは、商業施設やオフィスビルなどの不動産物件の資産活用や運営管理を行う業務を指します。
施設所有者に代わって運営に関する戦略等の計画を立案実行します。1990年代後半頃からの外資系ファンドの日本国内の不動産を購入して管理することを目的として普及した言い回しです。
業務の内容としては、入居者との契約締結、賃料の回収、クレーム対応、施設の管理、保守、コンストラクションマネジメントと呼ぶ修繕計画の助言や品質管理、コスト管理の業務を行い、施設所有者に対しての定期的な運営管理状況の報告を行います。
〇アセットマネジメント(AM)
「Asset Management(アセットマネジメント)」とは、施設等の維持管理を効率的、合理的に運営実施していくために、保全設備の方法等を適切に設定、改善を行い、維持管理費を最小にして収益性を高める施設所有者へのアドバイザー的役割をする代理人として、BM及びPMの選択や支持する役割をするものです。
投資家に対しては、投資した利回りを最大にする責務を負います。
〇施設管理に必要な資格
施設管理業務は、施設の運営に関連するマネジメントを主に行う業種ですので、事業運営に卓越した能力が備わっていればよく、特に資格を取得しなければ業務に携われない訳ではありませんが、高度な提案力と不動産等に関する知識が求められます。
施設の総合的に運用していく立場であるので、技術面を含み以下のような資格を取得しておくことが望ましいことです。
・管理業務主任者(国家資格)
・宅地建物取引士(国家資格)
・ビル経営管理士
・マンション管理士
などが業務に関する有効な資格といえます。他にファシリティマネージャー資格もあります。
■設備管理
設備管理は前述したビルマネジメントであり、ビルメンテナンス(通称ビルメン)とも呼ばれています。
施設を利用する不特定多数の人々が清潔及び安全に快適に過ごせる環境作りを行う業務です。主な業務は清掃業務、設備保守維持管理業務、警備保守業務に大別されています。
施設管理が施設所有者が本来行うべき運営管理等の業務を所有者に代わって代行する仕事であり、施設の維持管理や修繕には携わりませんので、設備管理(ビルメン)に業務を委託するというのが一般的な流れとなります。
〇設備管理に必要な資格
施設の設備管理に関しては、施設(建物)には空調設備や給排水設備、電気設備、消防設備など法令でも定められた点検も行われなければなりません。
この様な設備点検には専門的な知識を持ち技術的な資格を有するものが当たらなければなりません。
設備管理に最低限必要な資格は
・ビルクリーニング技能士
・ビル設備管理技能士
・電気工事士(第2種)
・危険物取扱者(乙種)
・冷凍機械責任者(第3種)
・ボイラー技士(2級)
・消防設備士(乙種)
・警備員指導教育責任者(警備業法)
管理責任者としての資格は
・建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)
・建築物清掃管理評価資格者(インスペクター)
・電気主任技術者(2種・3種)
・エネルギー管理士
・冷凍機械責任者(第1種)
主な資格を挙げてみましたが、設備管理業務には8業種に区分された業登録に関係した設備機器に対応する資格が多数あります。
■まとめ
施設管理と設備管理について述べてみました。
扱う業務の内容が異なり立場も違うものですが、どちらも施設に関して密接な関係性があることから、コミュニケーションの重要性を図る必要があります。
健全で対外的にも安心感を与える経営状態と、より良い品質の管理によって社会的にも信頼度を与える結果を与えることとなります。
また、それぞれに卓越した資格者の育成と管理が信頼性に繋がります。
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