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技能実習生の監理団体とは?闇に潜むブローカーの問題

技能実習生の監理団体とは?闇に潜むブローカーの問題

技能実習生の監理団体とは?

監理団体とは、以下の2つの業務を行う団体のことを言います。

 

  • 受入企業と技能実習生の雇用関係の成立の斡旋
  • 受入企業による実習の監理

 

具体的には、海外の人材紹介会社(いわゆる「送出機関」)と協力して技能実習生の面接の手配を行い、その後入国してきた実習生が仕事や日常生活をスムーズに行えるようサポートします。

 

監理団体になることができるのは協同組合や公益法人などの非営利団体のみに限定されており、株式会社などの営利団体は監理団体となることができません。

 

また、監理団体として業務を行うためには、監督官庁である技能実習機構からの許可が必要です。許可を取得した後も、技能実習機構の職員による立入調査を毎年受けなければなりません。

 

この調査によって、「技能実習生が失踪した場合は、送出機関が監理団体に違約金を支払う」といった不適切な契約を結んでいた監理団体が許可取消処分を受けた事例もあります。

 

技能実習生に関わるブローカーとは?

 

「ブローカー」という言葉は幅広い分野で使われ、様々な意味があります。技能実習におけるブローカーとしては主に以下の2種類があります。

 

  • 実習生の母国で活動するブローカー

まず1つ目は、特にベトナムで顕著ですが、送出機関に代わって実習生採用面接の候補者を探す人物のことです。

 

ベトナム人技能実習生は近年では減少傾向にありますが、特にコロナ前は日本からの発注があまりにも多く、送出機関だけで面接の候補者を集めることができなくなり、ブローカーにも候補者を探してもらうようになりました。

 

技能実習生は送出機関に手数料などを払うのが通常ですが、ブローカーが「送出機関に支払う」などと言って、直接多額の手数料を受け取るケースもあります。

 

  • 失踪を手助けするブローカー

技能実習制度に関しては失踪という問題がつきまといますが、技能実習生が入国後に失踪を手助けするブローカーもいます。

 

Facebookで「思っていたより仕事がしんどい」、「思っていたより稼げない(残業が少ない)」などの不満を投稿している技能実習生に対し、高収入や軽作業など言葉巧みに声をかけて失踪するように勧めます。

 

技能実習生が失踪を決断すると、10万円程度を受け取り新しい非合法な仕事を紹介します。

 

技能実習生が当初の会社とは別のところで働くことは違法で、不法就労となります。ブローカー側はそういったことは関係ありませんので、不法就労先で技能実習生がどのように搾取されても何の責任も負いません。

 

多額の借金を背負う理由

 

技能実習生は送出機関で手続きなどをしてもらい、来日します。国によっては送出機関が請求できる手数料の上限が法律で決まっており、ベトナムでは3,600ドル、ミャンマーでは2,800ドルというようになっています。

 

ミャンマーでは基本的にこのルールが守られているのですが、ベトナムではブローカーが暗躍するなどの理由から、技能実習生が3,600ドル以上の額を支払って来日するケースがなかなか減りません。

 

これにはベトナム側の事情もあります。ベトナムの特に田舎では”人づて”での紹介がまだまだ主流で、技能実習生として日本へ行こうとすると、家族や親戚が知り合いを頼って送出機関やブローカーを探します。

 

その送出機関・ブローカーが悪質であれば、そのまま高額の手数料を支払ってしまうのです。

 

このような違法行為はベトナム政府がきちんと対処すべきではないかと思いますが、そうはなっていないのが現状です。

 

ブローカーが関わった問題例

 

ベトナム人のカ・チャン・ホン・フィさんは地方都市でトラック運転手を務めていましたが、技能実習生として日本で就労することを決めました。

 

間もなく、親族の紹介でブローカーの男と会い、「送り出し機関に渡す」と約80万円を要求されました。

 

当時の月給は3万5,000円で、貯金などを取り崩して約20万円をかき集め、残りの約60万円は叔父の土地を担保に銀行から借金しました。領収書もなく、費用の内訳も知らされることはありませんでした。

 

来日後は山梨県の建設工事会社でコンクリートを流し込む重労働に従事。寮費や水道光熱費を天引きされた後の手取り額は8万~9万円でした。

 

同社では違法残業や実習生へのパワハラも横行し、「このままでは借金が返せない」と、1年後に失踪しました。

 

その後、実習生を支援するNPOに身を寄せ、ラーメン屋でアルバイトし、約1年後にベトナムへ帰国しました。借金は完済できず約10万円が残ってしまったということです。

 

まとめ

ブローカーの問題を解決するためには、それぞれの政府が法律どおり厳しく取り締まる必要があるでしょう。

 

悪質なブローカーに騙されて借金を抱える、失踪を勧められた結果劣悪な環境で働かされるといった問題が少しでもなくなるよう、少なくとも日本においては警察や入管庁にはしっかりと仕事をしてもらいたいものです。

 

また、少しお伝えしたように、ベトナム人の技能実習生が減少しているのも事実です。

 

一昔前は、日本の円が高かったことや諸外国がまだまだ発展途上だったことが理由です。

 

しかし、ベトナムは現在GDPがすごい勢いで伸びていることや、毎年人件費が10%以上も上がっており、人によっては日本よりベトナムで稼ぐことが出てきているのも事実です。

 

そうなってくると、今後日本への技能実習生は減る一方になるでしょう。

そこで課題となってくるのが2025年問題での人手不足の課題は、技能実習生では解決できないことになります。

 

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参考資料

出入国在留管理庁「技能実習生の支払い費用に関する実態調査について(結果の概要)」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001377366.pdf) [参照2023-2-11]

読売新聞オンライン「80万円払った男性「大金は一体どこに」…技能実習生の高額負担、日本側へのリベートにも」(https://www.yomiuri.co.jp/national/20221231-OYT1T50223/)[参照2023-2-11]

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