しかし、耳なじみがなく、意味も正しく理解するのが難しいのが現状です。
今回はデジタルツインの意味と一般的なシミュレーションとの違いについて紹介していきます。
デジタルツインとは現実で得た情報を基に仮想空間でシミュレーションを行う手法
デジタルツインは現実空間にあるものを仮想空間で作り出し、シミュレーションを行う手法です。
「ツイン」という言葉の意味からも分かるようにまるで双子のような空間を仮想世界に作り出すことでより高精度のシミュレーションを行うことができます。
そのため、デジタルツインは産業からスポーツまで幅広い分野で活用されています。
最大の特徴はリアルタイムで得た情報を基にシミュレーションを実施できる点です。
通常のシミュレーションでは人が設定したシナリオを基にシミュレーションを行います。
そのため実施から結果を得るまで時間を要します。
一方デジタルツインではリアルタイムで得た情報を基にシミュレーションを行うため、結果を得られるまでのラグが短く、問題の早期解決が可能です。
そんなデジタルツインは、耳にする機会が無かったため目新しいように感じますが、概念自体は既に2003年にミシガン大学のマイケル・グリーブス教授によって提唱されています。
そして改めてデジタルツインに注目が集まった要因としては主に以下の2点が挙げられます。
- 技術力の向上により高い精度のデータ収集が可能になった
- IoTの普及やDX、5Gなどによってあらゆるものがインターネットに繋がるようになった
このようにテクノロジーの進歩により精度の高いシミュレーションが可能となったことがデジタルツインが注目されている要因と言われています。
デジタルツインとシミュレーションの違いは現実との連動性
デジタルツインはシミュレーション手法の1つであるため、シミュレーションという大きな括りの中にデジタルツインが入っているという認識が正しいです。
そんなデジタルツインが通常のシミュレーションと異なる点は現実と連動していることです。
通常のシミュレーションでは実際にシミュレーションを行う前に人が状況を設定してから行います。
例えば、自動車の衝突実験でのシミュレーションでは距離、速度など様々な要素をあらかじめ設定し、実験を行います。
一方デジタルツインの場合は、実際に車が走行している際に計測されたデータからシミュレーションを行うため、より現実的なシミュレーションを行うことができます。
また、仮想空間で実験を行うため、コスト削減にも繋がります。
車の衝突実験は従来実験を一回実施する毎に車を破壊する必要がありました。そのため部品代や製造コストがどうしてもかかってしまいました。
しかし、デジタルツインなら車もその他の設備も仮想空間上で実験を行うため、実験機の部品代や製造コストがかかりません。
加えて実験機の製造にかかる時間も必要ないため、通常のシミュレーションを実施した場合に比べて試作期間も短くなります。
デジタルツインの導入によって様々な課題が解決できる
デジタルツインの導入は今後の産業、社会、技術など様々な課題の解決に貢献することが期待されています。
一例として以下のようなことが期待されています。
・試作コストの削減
・気象災害時の避難行動改善
・業務の効率化
・人口と労働力の増減
・CO2の排出量削減の実現
他にもデジタルツインの導入によって様々な課題が解決できることが見込まれており、既にデジタルツインを活用した事例もあります。
シンガポールは「スマート国家」の実現を目指す
シンガポールは2014年から「スマート国家」を目指した取り組みが行われています。
現実空間のシンガポール国土全体を仮想空間で「バーチャル・シンガポール」として3Dモデルで再現しています。
交通インフラや地形情報、人の位置、水位などあらゆる情報をリアルタイムで統合することで利便性の向上や都市運営の最適化を図っています。
日本ではコマツが土木現場のデジタルツインを生成
日本の建設業界ではドローンを使って地形データを取得することでデジタルツインを生成することで、測量に要する時間を大幅に短縮するなど作業の効率化に成功しています。
また、進捗の確認を行う際もデジタルツインを更新して可視化することで、状況が把握しやすくなりました。
そのため、現場責任者や経営者などの判断もより迅速に行えるようになりました。
まとめ
今回はIT用語のデジタルツインについて、意味と一般的なシミュレーションとの違いについて紹介してきました。
テクノロジーの発展と共に注目を集め、様々な課題の解決が期待されているデジタルツインは今後も様々なシチュエーションで活用されることが期待されています。
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