2022年6月末の政府統計によると、約20カ国の外国人32万人超が実習生として日本に滞在しています。
人数の割合としてはベトナムやフィリピンなど東南アジアが中心ですが、ウズベキスタンやキルギスといった中央アジアや、ペルーのように南米から実習生として来日している外国人もいます。
このように実習生は様々な国から受入れることができますが、どの国・地域から受入れるかによって注意すべきポイントが異なります。この記事では、こういった実習生の国別の違いをご説明します。
ベトナム
求人が徐々に難しく
技能実習制度が始まった当初は、中国人実習生がもっとも人気でした。
しかし、中国の経済成長や政治情勢などもあり、大半がベトナム人実習生に取って代わるようになりました。
その後もベトナム人実習生の人数は増加する一方で、最新の統計では実習生全体の55.5%がベトナム人となっています。
これほどまでにベトナム人実習生が増えてしまうと、日本で実習生になろうとするベトナム人の絶対数が減ってしまい、ベトナム人実習生側が売り手市場になってしまっています。
ベトナム人もやはり快適な環境でラクな仕事がしたいので、食品工場などが人気です。
逆に夏は暑く冬は寒い建設業や、縫製業などは人気が下がってきており、求人を出しても応募者がゼロというケースも増えてきています。
また、現地の人材派遣会社の中には、日本側からの建設業のオーダーは受けないというところもあります。
“借金”問題
様々な媒体で取り上げられるように、ベトナム人実習生は他の国から来る実習生よりも高額の借金を抱えて来日する傾向にあります。
理由としては、悪質な現地の人材派遣会社やブローカーをベトナム政府が適切に取り締まっていないことや、ベトナム人の国民性などが挙げられます。
ただ注意が必要なのは、実習生が「100万円借金して日本に来た」などと言った場合、その金額すべてが実習生としての来日準備のための借金とは限らないということです。
聞き方によっては関係のない借金が含まれていることがあるので、裏取りができていない実習生の話は、割り引いて理解する必要があります。
フィリピン
他国と異なる費用・追加手続きが必要
フィリピンは海外で出稼ぎする自国民の保護が手厚い国です。このため、他の国々と比較すると費用面や手続き面で違いがあります。
まず費用面ですが、実習生として来日する前の5カ月間の日本語講習(いわゆる「入国前講習」)の費用を受入企業が全額負担しなければなりません。
ベトナムなどでは受入企業と本人の双方が負担する方式が一般的です。しかし、フィリピンの場合は、入国後講習に関する費用を実習生本人に負担させることが禁じられていますので、全額受入企業負担となります。
ベトナムなどの入国前講習の受入企業負担は1〜1.5万円が相場ですが、フィリピンの場合はこの3〜4倍は必要です。
また、手続き面としてもっとも特徴的なものは、実習生面接前に、受入企業側が面接されるということです。面接は在日フィリピン大使館で行われ、面接後は承認印が捺された書類が届きます。
インドネシア
イスラム教徒の実習生に配慮を
インドネシアで特筆すべきことは、イスラム教徒が多いという点です。実習生として日本で働くことを希望するインドネシアの若者も、大半はイスラム教徒です。
彼らが日本で働く際に気をつけなければならないのは、毎日のお祈りと断食です。
母国にいる間は、1日5回のお祈りは欠かさず、ラマダンの間は断食を行います。
インドネシアでこのような生活をしていたとしても、実習生として日本に来てから同じようなルーティーンを続けるというのはかなり難しいです。
このため、面接のときに「日本で断食はできませんよ」「お祈りは寮でだけ行ってくださいね」などと取り決めをしておくのが一般的です。
この他、イスラム教徒は豚肉を食べないといった教義もありますので、会社で食事会などをするときは気をつけましょう。
まとめ
今回は、実習生の受入れ人数が多いベトナム、フィリピン、インドネシアの実習生の違いについて、幅広い観点からご紹介しました。これからの実習生の受入れにぜひ役立てていただければと思います。
参考資料
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