「カーボンニュートラルを達成するには、どんな電力供給方法が最適なのだろう?」そう思う方もいるのではないでしょうか。
火力発電が今後も重要な役割を担う中で、CO2排出をゼロにする日本の技術に世界が注目しています。
カーボンニュートラルの実現に向け、火力発電とCO2排出削減技術の最前線に迫ります。この記事では、火力発電がなぜカーボンニュートラル実現の鍵とされるのか、そして日本がこの分野でどのような革新的技術を開発しているのかを深掘りしていきます。
火力発電については以下の記事で解説しております。
日本の革新技術:CO2を排出しない火力発電とは?
愛知県南部に位置し、1991年より運転を開始した碧南火力発電所は、地域の電力供給の要として機能しています。
日本最大級の石炭火力発電所の一つであるこの施設では、CO2排出量をゼロに抑える先進的な発電技術が注目されています。
この技術は、地球環境への配慮とエネルギー供給の安定性を兼ね備え、国内外からの関心を集めています。
CO2排出を削減する日本の取り組み
石炭火力発電は、CO2排出量が多いため、脱炭素社会への移行が求められています。
この課題に対し、JERAはCO2を排出しない発電方法を模索し、碧南火力発電所での実証実験に取り組んでいます。
JERA副社長奥田久栄氏によると、この挑戦は、日本が世界に先駆けてエネルギー変革をリードするための重要なステップと言われています。
参考情報元:JERAホームページ
日本とJERAのカーボンニュートラル目標
日本政府は、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げています。
この宣言は、日本のエネルギー政策における新たなマイルストーンとなっています。
JERAの「JERAゼロエミッション2050」計画は、この国家目標に対する具体的な取り組みの一例です。
奥田氏は、脱炭素化へのコミットメントをグローバルなビジネス展開の基盤と位置づけています。
JERA:LNG火力発電×水素
出典:YouTube
日本での主力発電方式であるLNG火力発電は、電力需要の変動に合わせて柔軟に発電量を調整できる点で高い評価を受けています。
LNG、すなわち液化天然ガスは、有害物質を除去した天然ガスをマイナス162度で液化し、体積を約600分の1に削減しています。
このプロセスにより、効率的な海外輸入が可能となり、JERAはこの分野で世界トップクラスの取り扱い量を誇ります。
CO2削減への挑戦
これまで、LNG火力発電の効率向上によりCO2排出量の削減が進められてきましたが、さらなる環境負荷の軽減を目指して、新たな取り組みが注目されています。
それが、LNGに水素を混ぜて燃やす技術です。水素は燃焼時にCO2を排出しないため、この混合方法を採用することで、発電効率を保ちつつCO2排出量をさらに削減できるのです。
技術的課題と解決策
ただし、この技術を実現するにはいくつかの課題があります。水素をLNGと混ぜて燃やすためには、発電設備の改造が必要であり、また水素の輸送や貯蔵も難易度が高い作業です。
海外で生産された水素を日本にどのようにして運び、どう貯蔵するかは、まだ解決すべき多くの問題を含んでいます。
JERAは、これらの課題に対処するため、既存の技術やノウハウを活かし、大量の水素を安価かつ安定的に調達するために取り組んでいます。
そして、混合する水素の割合を徐々に増やし、最終的には水素のみを用いた発電を目指しています。
LNG火力発電と水素を組み合わせた発電方法は、日本のエネルギー産業におけるCO2排出削減のための重要な革新となり得ます。
技術的な課題はありますが、JERAのような企業が先導して解決策を模索し、実用化に向けて努力していることは、持続可能な未来に向けた大きな一歩を意味しています。
JERA:石炭火力発電×アンモニア
出典:YouTube
石炭火力発電は、その安定した発電能力で世界的にも主要なエネルギー源として日本では非常に重要な発電です。
この方法は、細かく砕いた石炭を燃やして高温の蒸気を生成し、これを利用してタービンを回し、電力を生み出します。
過去には、燃焼過程で硫黄などの有害物質が排出される問題がありましたが、現在ではこれらの物質を除去する技術が確立されています。
地球温暖化と火力発電の関係
しかしながら、地球温暖化の主要因とされる二酸化炭素(CO2)の排出は依然として大きな課題です。
この問題に対処するため、石炭との相性が良いアンモニアを石炭火力発電に混ぜて燃焼させる技術が注目を集めています。
アンモニアは燃焼してもCO2を排出しないため、この方法を用いることで発電量を維持しつつ、CO2排出量を削減でが可能になります。
アンモニア×火力発電のメリット
このアプローチの大きなメリットは、既存の設備を活用しながら進められることにあります。
これにより、新たな設備投資にかかる費用を大幅に削減できます。
加えて、アンモニアの混燃比率を徐々に増やし、将来的にはアンモニアのみを用いた発電を実現する計画が立てられています。
アンモニアは現在、主に肥料などで使用されていますが、発電用としての利用拡大にはより多量のアンモニアが必要となります。
技術とノウハウの活用
JERAは、保有する技術やノウハウを駆使して、必要なアンモニアを安価かつ安定的に調達する方法が探されています。
エネルギー供給の安定性を保ちながら、環境負荷の低減を図るこの取り組みは、石炭火力発電の持続可能な未来への大きな一歩を意味しています。
まとめ
碧南火力発電所での取り組みは、日本がカーボンニュートラル社会の実現に向けてどのように貢献できるかを示す好例です。
アンモニア混焼技術の開発と実用化は、世界のエネルギー産業におけるパラダイムシフトを促す可能性を秘めています。
この挑戦が成功すれば、日本はCO2排出ゼロの火力発電技術の先駆者として、世界のエネルギー変革をリードすることになるでしょう。